東芝(6502)は30日10時から、幕張メッセ(千葉市)で臨時株主総会を開き、半導体事業の分社化を決議する。米原発事業を巡り多額の損失計上の可能性が表面化して以降、株主と直接対話する場を持つのは初めて。株主総会では、社会インフラを中核に据える今後のビジネスモデルや米原発会社の法的整理で一段と悪化する財務体質の立て直し策などが問われ、問題発覚の遅れについて責任を問う声が相次ぎそうだ。
2015年4月に会計処理問題が表面化し、経営体制を刷新してからも新たな問題の発覚が相次ぐなど、いまだに経営再建への道筋は描き切れていない。傘下の米原発子会社ウエスチングハウス(WH)は米連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)の適用を申請。法的整理に伴い、今期の最終赤字が1兆100億円程度に膨らむとの見通しを示した。
WHの再建に向けては雇用や技術保持の観点から米政府が懸念を示しているとの見方もある。ひとまず今後の損失拡大が続く最悪の事態は防げても、財務基盤は一段と悪化し、17年3月末の債務超過額は6200億円に膨らむ見込みだ。東芝は半導体の分社化と株式売却で早期の脱却を図るが問題が山積する中で、株主総会は長丁場となりそうだ。
■東芝の不正会計問題発覚後の株主総会
所要時間 参加者
・2015年6月 定時株主総会 3時間16分 3178人
・2015年9月 臨時株主総会 3時間50分 1924人
・2016年6月 定時株主総会 2時間58分 2089人
〔日経QUICKニュース(NQN)〕