今日はとても忙しい日だった。
駅の通路を早足で歩いていると前方にゆっくりと歩くおばあさんが居た。
重そうなゴロゴロ?(名称を知らないけどおばあさんがよく持っているスーパーなどで買ったものを入れる車輪がついたかばん)を押していて、その先には長い階段があるので絶対無理やん?危ないなーと思って通り過ぎようとすると、
「あの~すいません、これを階段の下まで持って行って貰えないでしょうか?」
とおばあさんに言われた。
どうしようかと一瞬考えたが、
「あっちにエレベーターがあるみたいですよ?」
と答える事にした。急いでいる自分の都合と、おばあさんがあまりにもよたよたと歩いているので、長い階段を降りて転んだりしたら危ないと思ったからだったのだが、おばあさんはこう言った。
「この駅、エレベーターが遠いんです・・・でもやっぱり良いです、お急ぎのところすいませんでした」
猛省である。人がものを言うには言うなりの理由がある。そこまで考えが及ばなかったことと、自分が急いでいて余裕がなくなっていたのに気がついた。
「エレベーターが遠いんですね・・・わかりました。でも階段降りれますか?大丈夫ですか?」
とやりとりをしていると電車が来る音が聞こえてきた。
「下に置いて行って下さい。ゆっくり降りますので」
次の電車に乗ることにしておばあさんと一緒に長い階段を降りるか迷ったが、結局ゴロゴロを下に持って降りて先に行くことにした。
ちょうど電車が来たので、階段の下からおばあさんにアイコンタクトを送ると、おばあさんは手すりにつかまってゆっくりと降りながら頷いた。
電車に乗ってからも後ろ髪を引かれる思いだったが(引かれるほどの後ろ髪はないですが・・・)人がものを言うには言うなりの理由があるもんだ、過剰に親切にするのもかえって気を使わせてしまうかもしれないし・・・と自分に都合よく納得する事にした。
それから用事を済ませ、暖かい日だったので上着を手にかけてせかせかと歩いていると、上着のポケットからボールペンが落ちた。
前から歩いてきたビジネスマンの男性が100点満点のさわやかな感じで「ボールペン落ちたよ!」と教えてくれた。“ボールペン落ちたよ!”をこんなにも気持ちよく言う人は今まで見たことがない。
「ありがとうございます!」
とすれ違いざまにお礼を言うと、これまたさわやかな笑顔とアイコンタクトだった。ちょっとしたことでこんなにも嬉しくなるんだから、人には親切にしないといけないなと思い、先程の親切じゃなかった自分を反省した。
***
日曜日に家族でフリマへ行った。時々フリマへ行くが、娘に少しお小遣いをあげて好きなものを買っていいよという事にしている。その際に1つだけ、“必ず自分で値下げ交渉をすること”という約束をしている。(大阪で生きるには必須のスキルであるし、フリマでは価格交渉というコミュニケーションも含めて楽しむものだと思っているからです)
娘は300円のお小遣いの中から以前から欲しかったけど買ってもらえなかったプリキュアのおもちゃと、妻へのプレゼントとして髪飾りを買ってきた。私の分はないが、そんなことは気にしない。娘にとって、私は空気だ。妻の喜ぶ顔、それを嬉しそうに眺める娘を見て、自分にとってこんなに嬉しい景色はないなぁと思った。
ところが、その後トラブルが・・・。帰りに娘から貰った髪飾りが無くなっている事に気が付いた。
「ごめ~ん(T_T)せっかく貰ったのに無くしちゃった・・・」
という妻。
「いいよ・・・仕方ないよ・・・」
と言うも、すごく悲しそうな娘。もうすぐ泣き出すんじゃないかというぎりぎりの感じだったので
「気を取り直してコンビニでみんなで何か甘い物でも食べよう!」と提案してみるも、娘は大好きなぶどうグミを食べて少し元気を取り戻した様子だったが、妻は相変わらずの表情。
結局家族の会話も少なく、その日は娘が妻の実家へ泊ることになっている日だったので、そのまま娘を預けて帰宅。
次の日、娘がおばあちゃんと一緒に買い物に行った時に、もう一度、今度は妻とおそろいの髪飾りを買って貰って帰って来た。
LINEで妻から「お揃いの髪飾り買って来てくれた!」と写真つきのメッセージが届いた。
娘が優しさを持って生まれてきてくれたことに感謝している。
***
こないだ、娘が急に真っ赤な薔薇をママに買って帰りたいと言うので買い物の帰りにいつもの花屋さんで真っ赤な薔薇を買って帰った。
真っ赤な薔薇を改めて見てみると本当に真っ赤な色で、ベロア素材のドレスか、もしくはレッドカーペットのようだった。まぁ、レッドカーペットを近くで見ることもないので正確なところはわからないけれど。
隣には娘が作った白いドレスを並べてみた。
撮った写真をパソコンで見ると葉っぱにピントが合ってしまっているがそのまま載せます。