医療技術
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イヌの歯の再生 岡山大がビーグル犬で実験成功 ヒトへの応用目指す
2017年03月27日 16時54分
岡山大学と理化学研究所のチームは、歯のもととなる「歯胚」細胞から、イヌの歯を再生する実験に成功した。将来的には歯を失った人のための再生医療に結びつけたいとして注目が寄せられている。
英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』に掲載された岡山大の窪木拓男教授らの論文によると、チームはまず、受精後55日目のビーグル犬の胎児のアゴの骨から、歯胚細胞を摘出する技術を開発し、この細胞をマウスに移植したところ。移植後8週目で天然の歯と同じ組織を持つ再生歯ができることを確認した。
次に、生まれて30日目の子犬のアゴの骨にある乳歯の下から、将来永久歯に成長する二種類の歯胚細胞を取り出して、培養したうえ、同じ子犬のアゴに移植した。
その結果、移植後60日目には歯の表面のデコボコ部分(咬頭)が現れ、半年後にはアゴの骨に根を張った歯が成長した。この歯は、天然の歯と同様に、歯の神経はもちろん、エナメル質や象牙質、歯周組織も正常にできていたという。
これまでマウスで歯を再生する実験はあったものの、歯の生え方が人間に近い大型の動物で成功したのは今回が初めて。
研究チームは「今回は、若年齢期の歯胚細胞を使ったが、今後は、体のさまざまな組織や臓器になることができるiPS細胞などを使った再生医療技術の開発を目指して、歯を失った成人や高齢者向けの治療につなげたい」と話している。