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 カレーチェーン「CoCo壱番屋」の創業者であり、宗次ホールを開館させた宗次徳二さんに、10周年を迎えたホールや、クラシックへの思いを聞いた。

 クラシック音楽に出会ったのは、高校1年のとき。友人から、中古のテープレコーダーを5千円の月賦払いで譲り受けました。

 録音してみようとテレビをつけると、たまたまNHK交響楽団の番組で、メンデルスゾーンのバイオリンコンチェルト。音楽には一切興味がありませんでしたが、なぜか琴線に触れました。毎朝、登校前に第1楽章を聴くのが楽しみで。養母との生活は貧しかったのですが、音楽がつらさを忘れさせてくれました。

 25歳で喫茶店を始めてからは、音楽を封印します。聴く間も惜しいほど商売に全力で、仕事がおもしろかった。再びクラシックに目覚めたのは、会社を引退する直前。出張の際、飛行機の機内放送でパバロッティを偶然聴き、昔の気持ちが一気によみがえりました。

 演奏家に舞台を増やしたくて、ホールのオープン当初から年間公演数の目標は400~500。業界の常識は知らないので、「素人が」と失笑されました。音響など専門的なことは任せましたが、運営は素人商法でいいと考えました。喫茶店もカレーチェーンも、すべて素人商法でしたから。

 飲食業も音楽ホールも、経営の…

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