同居中の彼女がSwitchのゼルダにはまった。子供時代にスーファミのRPGをやって以来らしい。最初は私がプレイしているのを見ているだけだった。道を逸れてイノシシなどを狩っていると「早く話を進めろ」などと言う。寄り道が楽しいゲームなのに。少し喧嘩をした。その時は「一緒にアニメを見るのはいいけど、ゲームを見てるとイライラする」と言われた。
なのに翌日「やってみたい」と言い出す。セーブデータは1つしか無いのだが、本体メニューで複数のプレイヤーを登録できるようだった。彼女のアカウントを登録する。アイコンは赤ピクミン。ちなみに私のアイコンは風のタクト版ゼルダ姫である。普段は全くゲームをしない彼女が遊んでくれるのが嬉しくて、最初の1時間くらいは最大限のホスピタリティでおもてなしをした。だいぶ疲れて、またちょっと喧嘩をした。
さらに翌日、帰宅すると彼女がゼルダをしていた。Switchは片付けておいたのに、自分でケーブルを繋いだらしい。「寄り道確かに楽しい。私が悪かった」と言う。その楽しさを知ってしまったらもう落ちたも同然である。
家にいる時間の何割か、彼女はコントローラを握っているようになった。少し前までは帰宅するとすぐにハグを求めてきたものだが、最近はテレビの前から動かない。多少の寂しさはあるものの、構わなくていい気楽さと「こっちの世界」を知ってくれる嬉しさが勝る。私もゲーマーだった時期が長いので、ずっとハイラルにいたい気持ちは十分に理解できる。私自身も深夜などにちまちまと進めているが、家にいる時間は彼女の方が長いので、そろそろ追い抜かれそうだ。
今日も今日とて、帰宅を伝えるメッセに返信がない。「ゼルダ?」と聞いても既読すらつかない。帰宅すると、今日は馬をつかまえたいと抱負を語る。
日付が変わる頃から定期的に「もうやめる」と口走る装置になっていた。私が風呂に入って出てきたところ、魔物に殺されて「死んだ、やめる」と呟きながらコントローラを放さない状態だったので、タイミングを見計らって本体のサスペンドボタンを押した(リセットや電源を押さずに済む、良い時代である)。「止めない方が良かった?」と聞くと「いや、自分ではやめられなかった」と言う。19時からやっていたらしい。6時間。なかなかのものだ。
ダメ人間だなぁと思う。これまで家族的な存在が私よりゲーム時間が長いということはなかったので、初めて家庭内のゲーマーを客観視している。想像以上にダメな存在に見える。本人にそう伝えたら「ひどい」と言われたが、特に心は痛まない。ゲームをしていた人間は雑に扱われて当然の存在なのだ。これまで自分がその立場だったので大変に愉快な気持ちである。
この日記を書いてたら「眠れない...」と言いながら起きてきた。6時間もやれば神経も高ぶるだろう。本でも読んだらと提案すると「実はスマホでプレイ動画を見ていた。すごい人はすごいうまい。プレイ動画の面白さがわかった」と言う。そうかそうかと返す。
破滅への序章か
や、ただのノロケだよ。
その余裕がいつまでもつかな?w
「ゲームは1日1時間までって高橋名人も言ってただろ」 「高橋名人って誰?」 「えーと、子供たちに人気だったゲームチャンピオンで... あれだ、今でいうヒカキン」 「なるほど」 と...