幕下相撲の知られざる世界

変化で照ノ富士が失ったものは、共感である。

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ルール上、反則ではない。 食らう奴が悪い。

相撲道の精神に反する。 正々堂々闘え。

毎回人によって見解が異なるが、これは正論で正当化することも、否定することも可能だ。だから私は、この問題について正論を持ち出すのは止めようと思う。

優勝争いのトップを走る照ノ富士。1年半前の怪我以来、精彩を欠き続けている。短い大関としての在位期間の中で、4回目のカド番。8勝と大敗を繰り返しながら、何とか大関を保ってきた力士だ。

ようやく掴んだ浮上のチャンス。絶対に負けられない。ライバルの稀勢の里は、前日怪我を負いながら、それでもまだ優勝を諦めていない。

今日の相手は、琴奨菊だ。大関から陥落し、5敗している。一つも負けられない。これで負けたら、大関復帰は極めて厳しいだろう。人生を賭けた大一番が、まさにこの取組である。

そういう状況で照ノ富士は変化し、勝利した。

変化に関する論点は、論点は非常に単純だ。 共感するか、否か。 ただそれだけだ。

私は、共感しなかった。 共感するはずがなかった。

一度突っ掛けた末に、しかも闘争心を剥き出しにしておいての変化。私はこれを卑怯と捉えた。そして、この結末を大変つまらないものだと感じた。

照ノ富士の苦難を知る方からすると、この解釈に対して真っ向から反論するかもしれない。だが、照ノ富士の苦難をメディアを通じて知り、ここまでの13日間で復活を遂げた姿に目を細めていた程度の理解の私からすると、照ノ富士寄りの見解が全て壊れる一番だったように思う。

全ての人の共感を集める変化など、この世に存在しないと私は思う。一つの勝負で勝利を呼び込む代わりに、大切なものを失う可能性もある。いや、大切なものを失うのだ。

それでも勝ちたい者だけが、変化をすれば良いと思う。非常に近い者だけが共感する力士になるが、そのことを責めてはいけない。変化はそれほど退屈なものなのだ。そして、そういう精神性を持った力士に対して、人は厳しいのである。

重要な一番での変化を、人は忘れない。2015年9月場所の鶴竜。そして、2016年3月場所の白鵬の取組は記憶に新しい。

自らにレッテルを貼る行為。 それが、変化なのだ。

照ノ富士は確かに、以前から要所で変化をしてきた力士だ。だが、この場面でも変化をしたこと。それが残念でならない。

私はこれから、照ノ富士をそういう目で見ることになる。照ノ富士に対する信頼が回復することはあるのだろうか。あらゆる行為を、変化するような精神性に結びつけて語ることになると思う。だからこそ、今日のような一番で変化してはならなと私は思うのである。

もう昨日には戻れない。これからも変化と照ノ富士を結びつけてしまうこと。それがたまらなく残念なのだ。

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記事カテゴリ:
大関
タグ:
琴奨菊
照ノ富士
非常に近い者だけが共感する力士
共感するか、否か
自らにレッテルを貼る行為
全ての人の共感を集める変化など、この世に存在しない

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変化で照ノ富士が失ったものは、共感である。

「共感しない」と書いてくれるからこそ、このブログはおもしろい。本音の中に本質を感じることも多い。すべての力士に中立に書こうと言葉を選ぶブログのなんとあじけないことか。
解説者もしかり。北の富士さんが人気あるのは堂々と自分の感情を出してるから.でも、そんな中に力士や相撲に対する愛情も感じるわけです。そこから素人のわたしたちは本質が見えてくるわけです。
実際、管理者さまが「共感しない」という“主観”を述べたことで、わたしはあなたのステキな意見が聞けました。
わたしは、あなたの意見には「共感」できなかったけど、でも、とっても尊重します。
そしてあなたの意見に賛同する人がいっぱいいるはずです。
そうやって本質をみんなで考えていくわけです。
これが「弁証法」のやり方です。
対立しないと物事を深く考えようとはしなくなる。
そういう意味で、このブログは、そしてあなたの意見はすばらしい。

変化で照ノ富士が失ったものは、共感である。

結局、日本人とモンゴル人という差異が大きいと思う。

逆に稀勢の里が変化しまくって勝っても、ここまで叩かれない。

日本人に勝ってほしい気持ちはわかるが、もし照ノ富士が日本人だったらと思うと、
モンゴル人があまりにも可哀想な気もする。

変化で照ノ富士が失ったものは、共感である。

私は肯定します、そう、積極的に。もろ手を挙げて賛成し共感します、照ノ富士の変化に。
千秋楽は、両者のケガの状況や待った連発の展開、それら勝負の綾も含めて、稀勢の里が照ノ富士のなお上を行っただけです。
土俵に上がるすべての力士に対して共感します。それがこのブログなのではないですか?「共感しない力士がいる」などと曲がりなりにもメディアとして相撲に携わっている方が書いていい言葉ではありません。

変化で照ノ富士が失ったものは、共感である。

この力士は今後何度優勝しても横綱に推挙してはいけない。この品性の汚さ、力士道の冒涜、早く廃業させるべきだ。。

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