幕下相撲の知られざる世界

照ノ富士の変化と差別を結びつける前に、考えて欲しいこと。

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照ノ富士の変化を批判し、稀勢の里の変化を批判しないのはフェアじゃない。モンゴル人力士に対する人種差別じゃないか。そんな意見をよく目にする。

あれほど素晴らしい感激を産んだ大阪場所の後で、大変残念な話だと思う。そして、稀勢の里を応援する心理をナショナリズムと結びつける記事が掲載された。

その記事のページはこちら。

何故このような意見が後を絶たないのか。相撲と差別、相撲と愛国心を結びつけるのは何故なのか。相撲ファンと大相撲がこのように捉えられるのは、一相撲ファンとして、ライターとして非常に困るので、もう一度このトピックについて書いておきたいと思う。

まず、変化についてだ。

変化の受け止め方は、共感するかしないか。これに尽きるということを、照ノ富士が変化した時に記した。それは、変化した力士が誰か。相手が誰か。互いの状況はいかなるものか。それ次第で是か非か決定する。

照ノ富士の変化が全体的に批判的な受け止め方をされたのは、相手が琴奨菊だったこと、その琴奨菊があと1敗で大関復帰の道が絶たれるということ、照ノ富士自身がここまで大変良い内容で勝利を重ねてきたことなどを総合的に考慮して、無いと判断する方が多かったからだ。

伊勢ヶ濱親方や後援会の方でさえ、照ノ富士の変化については批判的だったと聞いている。彼の苦しさや内情を知る方がそのような受け止め方をするのだから、そこに差別的な意味はなく、フラットに見ても批判的な解釈をされる状況だったということがお分かりいただけると思う。

では、稀勢の里の変化はどうだろうか。大怪我を押して強行出場した千秋楽。とても相撲を取れる状況ではないことが明らかな状態で、前日変化で批判を受けていた照ノ富士との対戦を迎えた。

日刊スポーツの一面で「頼む 頑張れ 稀勢の里」という見出しが踊るほど稀勢の里は痛々しく、感情移入の対象と化していた。つまり、多少のことは大目に見られる状況だったのである。

その結果、瞬間最大視聴率は異例の33パーセントに達した。どれだけの方が、この結果を肯定的に受け止めたかお分かりいただけるだろう。

二つの状況は同じではない。人によって受け止め方は異なるのが、変化というものだ。照ノ富士の場合は批判される要素が重なっており、稀勢の里の場合は肯定される要素が揃っていた。だから、変化という事象に対して一律で同じ反応が出来ないものなのである。フェアさを持ち込むような類のものではないのだ。

そして、外国人力士、特にモンゴル人力士に差別しているのではないか、という意見について向き合ってみようと思う。

さすがに相撲ファン全員が差別をしていないとは言い難い。野次を飛ばす者も居るし、SNSで心無い書き込みをする者も居る。だが、そういう実力行使に出るものはあくまでもごく一部に過ぎない。

一部の人間の過激な行いは、注目を集めやすい。だから、メディア上で強調されやすい。現場に行けば誰でも分かることだが、そんなファンは殆ど居ない。嘘だと思う方が居るならば、国技館に足を運んで欲しい。いや、相撲と差別を結び付けて記事を書こうと思う方が居るならば、現場を見てもらわねばフェアではないと私は思う。フェアさというのは、こういう時に使われるべき概念だ。

私は相撲ファンほど国籍関係なく力士を評価する人種はいないのではないかと考えている。例えば、白鵬を愛し続けてきたことを思い出して欲しい。相撲人気がどん底の頃に矢面に立ち、相撲の強さと素晴らしさを体現し続けてきたことに感謝してきたのだ。

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記事カテゴリ:
稀勢の里
外国人力士
タグ:
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差別
フェア
稀勢の里の変化
照ノ富士の変化

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この記事へのコメントコメント一覧

「照ノ富士の変化と差別を結びつける前に、考えて欲しいこと。」へのコメント

皆様、コメントありがとうございます。

言いたいことは全て記事の中に書いています。ただ、ひとつだけ。お願いですから、よく読んでください。言葉を言葉のまま読んでください。

ただ、それだけです。

照ノ富士の変化と差別を結びつける前に、考えて欲しいこと。

結局言わんとしてるのは、
・変化の受け止め方は状況や相手によって、また見る人によって違う
・差別する人もいるけどみんながそうじゃない
・稀勢の里が特別だっただけ
ということだけですよね?
でもこれって世間からの差別だという指摘に対してなんら反論になってないですよ。
そもそも稀勢の里と照ノ富士では状況が違うと言ってますけどほとんど同じでしょ。
どちらも手負いの状態、どちらもこの一番にかけてきている力士を相手に変化をした(大関復帰がかかっている琴奨菊と優勝がかかっているか照ノ富士かという違いがあるだけ)。状況は同じなのにこれだけ真逆の反応が起こっているから差別だという指摘が出ているのに、稀勢の里も照ノ富士も同じ状況で変化したという前提から認めていないのでは話になりません。それに照ノ富士は良い内容でここまで勝ちを重ねてきたと言いますが、終盤は決して盤石な相撲ではなかったですよ。
それから、現場では過激な行いはない、ファンは白鵬に感謝してきたなどと強調してますけど、どれも主観的意見でしかないですし説得力がないです。現に現場ではモンゴルへ帰れなどという発言が飛び交っているのですから。仮にそれを一部のファンだけだとするにしても、そうした発言が出ることに対してファンや協会などからなんら疑問を投げかけるような声が起こらないことに不信感を抱きますし、部外者の私がそう感じるということは現場で戦ってる外国人力士はなおさら角界に対して不信感を持つと思いますけどね。これは白鵬が審判部を批判したりするようになったこととも無関係ではないでしょう。
サッカーなどではそうした差別発言に対してはクラブや協会も迅速に動いたりするものですけどね。
最後に、外国人力士への差別や排外的な空気が問題になったのは今回が初めてではないですし、曙や小錦がいた時代からずっと問題になってますし、今でもぐぐればいくらでも事例は見つかります。そのたびに、力士の品格だのなんだのともっともらしい言葉を隠れ蓑にして角界は差別を認めようとしなかったけど、今回の件はそれが露骨に形に現れた。これでも差別ではないと言い張るのは自己正当化が過ぎると思いますよ。

「照ノ富士の変化と差別を結びつける前に、考えて欲しいこと。」へのコメント

安美錦の変化は、今も昔も、これもありだとされ、喝采もされる訳で。

照ノ富士の変化と差別を結びつける前に、考えて欲しいこと。

個人的には勝負の中での変化はありだと思っているので
そこだけ先に言っておいた上でコメントをさせていただきます。

稀勢の里の変化
照ノ富士の変化
確かに状況は違いますがどちらも同じことのように思います。
片方は自分がケガをしている状態
片方は相手がカド番という状態
共通しているのはどちらも優勝に絡んでいるという事
どこまでがしてよくて、どこまでがしてはいけない
そうとらえると片方が日本人で片方が外人というのが一番の違いと考えるのが普通だと思います。

そして片方は負けた後に「モンゴルに帰れ」やブーイング
片方は「よくやった」という賞賛の嵐

モンゴル勢はこの状況を見ると「差別」だととらえてもおかしくないと思います。
「差別」というのはした側は気づかなくても
された側は敏感に感じます。
個人的には今回の事を「差別」はなかったというのは
ちょっと日本人の勝手すぎると思いました。

ちなみに相撲は現地で何回も観戦したこともありますが
こういう外国人力士に対するブーイングや差別的な表現は
すごく耳にすることは多いと個人的には思っております。

長文失礼いたしました。

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