学校法人「森友学園」が大阪府豊中市に開校予定だった小学校をめぐり、大阪地検特捜部は29日、国の補助金を不正に受給していた疑いがあるとする補助金適正化法違反容疑での告発を受理した。捜査関係者への取材でわかった。特捜部は、補助金を得るために国に提出した契約書に虚偽記載がなかったかなど実態解明に向け、捜査を進める。

 森友学園は木材を活用した校舎の建築に対する補助金を国土交通省に申請。建築費を23億8464万円とする2015年12月3日付の契約書を提出した。計6194万円の交付決定を受け、そのうち5644万8千円が支払われた。

 しかし、森友学園はこの契約書とは別に、同じ日付で大阪府私学審議会に7億5600万円、大阪(伊丹)空港を運営する「関西エアポート」に15億5520万円と記した契約書をそれぞれ提出していたことが発覚。国交省は今月21日に補助金を取り消し、森友学園は支払われた補助金を28日に全額返金したという。

 23日の国会の証人喚問でなぜ3通の契約書が存在するのか問われた理事長の籠池(かごいけ)泰典氏は「刑事訴追を受ける可能性があるので、答弁を控える」と説明を拒んでいた。

 学園の一連の問題をめぐっては、大阪地検に森友学園側の贈賄(申し込み)と、財務省側の背任の二つの容疑の告発状も出されており、特捜部が受理するかどうかを慎重に検討している。(坂本純也、畑宗太郎)