1987年4月1日の旧国鉄分割民営化でJR7社が発足して30年。
親方日の丸の無責任体質から利益追求路線に転じ、4社が株式を上場した。一方、JR北海道は旧国鉄さながらの危機に直面し、地方では「廃線予備軍」が増える。民間企業としての経営とインフラを担う使命との両立は困難な局面に差し掛かっている。
◇経営改善で利便性も向上
旧国鉄は労使対立でストが頻発し、採算度外視の新線建設と過大な人件費で年2兆円近くの赤字を出していた。旧国鉄に関する債務は37兆円に膨らみ、当時の中曽根政権が改革に踏み切った。
大都市圏と新幹線を抱えるJR東日本とJR西日本、JR東海の「本州3社」に続き、JR九州も昨年念願の上場にこぎつけた。経営改善は投資余力を生み、利便性も向上した。東海道新幹線は時速220キロから285キロに高速化。「1列車当たりの遅れは平均3.1分から0.2分になった」(柘植康英JR東海社長)。JR九州が豪華列車「ななつ星in九州」を投入、JR東海がリニア中央新幹線の建設を始めるなど、4社は順調だ。
◇在来線の大半は赤字
「通学で利用している生徒もいるし、なくなるのは残念」。JR北海道石勝線夕張支線の夕張駅前で、ある市民はやりきれない表情を見せた。通勤・通学時間帯でも乗客の姿はまばら。同支線は廃止の方向で調整が進んでいる。
赤字路線が多いJR北海道は昨年、全路線の約半分を単独で維持できないと表明した。島田修社長は「30年経過したが、(旧国鉄時代と)同じようなテーマにぶつかっている」と語る。
国土交通省によると、民営化後に1142キロが廃線になった。今でも大都市圏の主要幹線を除けば在来線の大半は赤字。他社も人ごとではない。
◇明暗分けた低金利
明暗を分けた要因の一つは、バブル崩壊後の超低金利だ。37兆円の債務のうち、15兆円近くを本州3社とJR貨物が負ったが、金利の低下で返済負担は減った。6割以上の債務は国が肩代わりし、たばこ特別税などの形で国民負担が生じた。
一方、赤字路線を多く抱えるJR北海道、JR四国、JR九州の「三島会社」は1.3兆円の経営安定基金を渡され、運用益で赤字を埋めるはずだった。民営化時の想定は長期金利7.3%だが、金利低下で運用は悪化。不動産事業などの多角化に成功したJR九州を除き、経営は厳しい。
JR7社合算の売上高は旧国鉄末期からほぼ倍増したが、JR北海道とJR四国は取り残されている。清水慎一・大正大地域構想研究所教授は、分割民営化について「それなりにうまくいったが、不採算でも地域振興には必要な鉄道網をどうするか。税金を投入してでも維持すべきかの合意形成を図る時期だ」と指摘した。
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