会社社長ら、航空法違反容疑で書類送検へ
警視庁が方針 国の許可受けずに航空運送事業
東京都調布市で2015年7月、5人乗り小型機が住宅街に墜落し8人が死傷した事故で、機体を管理していた「日本エアロテック」(調布市)が国の許可を受けずに航空運送事業を行っていた疑いが強まり、警視庁が社長(63)ら同社幹部2人と、事故で死亡した川村泰史機長(当時36歳)を近く航空法違反容疑で書類送検する方針を固めた。捜査関係者への取材で分かった。
川村機長は、小型機の運航目的を操縦技能を維持する「慣熟飛行」と申請していたが、捜査の過程で、重傷を負った搭乗者が「当日は会社に十数万円を支払う予定だった」と話したという。警視庁は調布飛行場で禁止されていた有償の「遊覧飛行」を繰り返していたとみている。
捜査関係者によると、書類送検容疑は15年1月から事故当日の7月26日まで計7回、国の許可を受けずに川村機長操縦の小型機で調布飛行場から奄美空港(鹿児島県奄美市)などに客を乗せて運航。約10万円から百数十万円を搭乗者から受け取ったとしている。川村機長については14年4月から10回程度、同社運営の飛行機クラブ会員に1時間数万円の報酬で操縦訓練をしていた疑いも持たれている。警視庁は法人としての同社も書類送検する方針。
航空法は、航空運送や操縦訓練を事業として行う場合、国土交通省に安全性などを証明する資料を提出し、許可を取ることを義務づける。無許可で事業を行った場合は3年以下の懲役または300万円以下の罰金が規定されている。同社は許可を取得していなかった。
事故機は伊豆大島に向かう予定だったが、離陸直後に調布飛行場から約500メートルの住宅街に墜落。機長のほか搭乗者の男性(当時36歳)、住宅にいた女性(同34歳)が死亡した。機内からは複数の水着やカメラが見つかっており、搭乗者の一人は「川村機長の操縦で4~5回、伊豆大島に行ったことがある」とも話しているという。警視庁は業務上過失致死傷容疑で事故原因の捜査を続けている。【神保圭作、深津誠、春増翔太】