てるみくらぶは、状況だけ見ると典型的な「ギリギリまで金策してコケた」パターンですよね。
んで、これを「計画倒産では?」とか「詐欺だ!」とか判断してると、自分が代理店使うときに、悲惨なことになるヨ。
角が立たないようにチョットした昔話をします。
さて、旅行業者や、旅行業者代理業は、いろんな相手といろんな約束をします。
弱小のちっちゃな代理店だと、お客さんに全額前入金してもらうのが大前提。
だって、手持ち資金がないから飛行機代の建て替えとか無理ですモノ。
クレカ決済後、実際の現金が手元に来るのに一ヶ月くらいかかる。
正しく払うつもりで正しくクレカ決済が切られても、現金振込まで時間かかる。
ご存知かとは思いますが、航空会社はすんごくたくさんあります。
旅行代理店がいちいち「えーと次はキャセイパシフィックに連絡して、戻りが中国南方で、エアアジアがダメだったらエチオピア航空の担当者を……」とかやってるとどうにかなりますね。
そこでIATAって航空会社の業界団体が、窓口になって便宜を図ってくれるわけです。
(カルテルっぽいよねって嫌がって加盟してない航空会社もある)
「カネを積んでうちの公認代理店になる?じゃあ発券させてやろう」
IATA公認代理店になると、IATA加盟航空会社の航空券の発券ができます。
CRSとかGDSとか言うんだけど、まあ予約発券システムで、航空券バンバン切れると思ってね。
さらに、この予約システムにBSPと呼ばれる国・地域ごとの請求決済システムが載ってて、電子決済できる。
はるか昔には、旅行会社印が組込まれた機械に、航空会社のロゴと名前の載った板(キャリアプレート)を嵌め込んで、白紙の航空券を差し込んで、セイヤッと押すと航空券が出来上がってたわけです。
(今は電子化されてるからインクで汚れることもなくなって便利ですね)
プレートが引き上げられたって報道は、「旅行代理店から、航空券発券の権限を取り上げた」ってことです。
今まで予約発券してた航空券の支払いが滞ったら、そりゃ止められるよね。
(いまは、認可制から届出制になって、国内運賃はわりと自由になりましたね)
さて、政府だのIATAだのが正規運賃を定めて、勝手な値下げを制限されるとどうなるか。
航空会社は正規運賃で販売する。旅行会社は正規運賃で購入する。
さらに、ある期間を通じて「何席以上売ってくれたら」さらに報奨金を払うよ。
古き良き昭和の時代、旅行代理店の彼氏彼女からゴッツイ割引航空券が3月とか9月とかの期末に出回ったのは、この報奨金のおかげなんですね。
ニギリだのシバリだの呼ばれとりましたが、限りなく黒に近いグレーだったりする営業のバチバチの結果は、自転車操業に向いた手法だったことは間違いありません。
社員の業界回転率が高いと、「いやー無理っスわ。来期調整で一つ」という口約束が、気がつくと有価証券報告書に売掛金として載ってたりするので、怖いですね。
正規のコミッション(手数料)が9%で、KBが3万円としましょうか。
さらに、半期のニギリ(リベートとも言う)を2000席で、4万上乗せと調整した。
これで、往復運賃40万円の航空券を、25万円(なんと15万円も安い!)として売り出すと、
25万円-22万4千円(11万2千円の往復)=往復で2万6千円が、旅行会社の儲けになるわけです。
往復1000席で、2600万円の儲けですね。
1998席だとこうなります。
往復30万4千円の航空券を、往復25万円で売り出してましたね。
ハイ、5394万6千円の赤字ですね。怖いですね。ニギリ怖いですね。
しかも、約束した営業部員は既に3ヶ月前には転職してたりすると……
さて、平成も29年にもなってニギリで仕事する旅行会社は無いハズです。
ウッスーイ利ざやで稼いでおいて、繁忙期のブロック席を確保して儲ける。
ホテルや現地の案内人と上手いこと調整して、みんなで幸せになろうよと稼ぐ。
最初に言いましたが、三流の弱小旅行業者代理業とか、現金決済以外できないワケです。
逆に言えば、いわゆる買掛金を積んで取引が続くっていうのは、信用の証なわけです。
つまり、誠実で真面目で信用できると感じる人ほど巨大な借金で回ってしまう。
評判が良い会社ほど、ギリギリまで粘って、自転車止まっちゃうのです。
(予約が入り続けて客が居れば居るほど、銀行は金貸してくれるからね)
飛行機は従業員の誠意で飛ぶわけではありません。マネーで飛ぶんです。
自分が何時間も命を預ける乗り物を、値切って叩いて怖くは無いですか。
給料を満足に払ってもらえないプロフェッショナルの誠意を当てにするのは、正しいでしょうか。
同じように、正規運賃、正規の宿泊料金、正規のガイド料金から、明らかに安い場合は、立ち止まって下さい。
閑散期だから、団体客だから、次があるから、知名度を上げたいから。
様々な理由や言い訳はありますが、利幅が薄い赤字でキツイ、それはそのままブラック労働に繋がるんです。
タダよりマシが本当なら、キャベツを押しつぶすトラクターは存在しません。マシじゃダメなんです。
ゼロよりは時給100円で仕事がある方がマシだろうってのはブラック労働なんです。
「正規料金に上乗せして、手数料を払う」って国もあるんですよ。
手配業ってのは本来そうしたもんです。旅行の企画だってそうです。
自分でやると面倒な手配・企画をお願いする代わりに、手数料を払う。
是非、何も考えずに正規料金を払ったらどうなるか試算してみて下さい。
そして、代わりに手配してもらう人を何時間雇えば計画が完了するか考えてみて下さい。
1割2割はコネや手配技術で安くなるかもしれません。4割5割の割引、ホントに大丈夫ですか?
選択肢は大量にあります。最安値しか存在しないワケじゃないんです。選んで買えるんです。
こういう騙される方が悪いってマウントしたがる馬鹿がいる限り、 第2・第3のてるみくらぶが生まれるんだろうなあ。
これだけ丁寧に説明されてその反応って知性格差はいかんともしがたいな・・・
丁寧にも糞も単に騙された方が悪いって一言で済む話を装飾してるだけだろ 読み解けないお前が馬鹿
丁寧丁寧丁寧に描くと決めていたよ~♪