英 12角形の新1ポンド硬貨 流通開始

英 12角形の新1ポンド硬貨 流通開始
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イギリスでは28日、偽造を防止するため12角形という珍しい形にした新しい1ポンド硬貨の流通が始まりましたが、一部の自動販売機などで、対応が済んでおらず、混乱も予想されています。
イギリスでは28日、新しい1ポンド硬貨の流通が始まりました。新しい硬貨は12角形で、金と銀の2色があしらわれていて、片面にはエリザベス女王の肖像が、もう一方にはイギリスの4つの地域を象徴する植物がデザインされています。

王立造幣局によりますと、これまでの円形の1ポンド硬貨は30年以上使われていて流通量の3%程度が偽造だということで、新しい硬貨には12角形という珍しい形に加え、傾ける角度によって「1」の数字と「ポンド」のマークが表示されるホログラムを取り入れるなど、最新の偽造防止技術を導入しています。

ただ、従来の硬貨から形や重さが変わるため、飲料などの自動販売機の大半で改良が必要になり、自動販売機の業界団体によりますと日本円で合わせて45億円の費用がかかるということです。

このため、いまも全体の15%に当たる7万5000台で対応が済んでいないほか、駅の券売機やコインパーキングなども一部で新しい硬貨が使用できない状況となっていて、混乱も予想されています。

これまでの硬貨が使えるのは、ことし10月15日までで、自動販売機の業界団体では「これまでの新硬貨と比べて移行期間が短く大変だが、間に合わせるよう集中して作業を進めたい」と話しています。

新硬貨発行の理由に偽造対策

イギリスで12角形という珍しい形の硬貨が発行されることになった大きな理由の一つが偽造対策です。

これまでの円形の1ポンド硬貨は、流通から30年以上が経過しているため偽造が容易になっていて、王立造幣局によりますと、現在、流通している1ポンド硬貨の3%程度が偽造だとしています。

このため王立造幣局では、偽造を防ぐ必要があるとして、新しい1ポンド硬貨を12角形にしたほか、金と銀の2色をあしらい、表面には、傾ける角度によって「1」の数字と「ポンド」のマークが表示されるホログラムを取り入れています。

さらに、公表されていない最新の偽造防止技術も導入しているということで、王立造幣局では「世界でもっとも偽造が難しい硬貨だ」と話しています。

イギリスでは、去年9月にプラスチック素材で作られた5ポンド紙幣の流通が始まりましたが、この紙幣にも透明のすかしが入るなど、最新の偽造防止技術が活用されています。

ことしの夏には10ポンド札が、2020年には20ポンド札がプラスチック素材の紙幣に切り替えられる方針で、イギリスで硬貨や紙幣を刷新して、偽造を防ごうという動きが強まっています。

珍しい形に驚く市民も

イギリスで流通が始まった12角形の新しい1ポンド硬貨について、市民からは、さまざまな意見が聞かれました。

このうち、ある男性は「デザインがいいですね。特徴的でとてもいいです。こういうデザインならこれまでの硬貨よりも偽物を作るのは難しくなると思います」と話していました。
一方、ある女性は「コインパーキングで、12角形の角が認識されず、大変な思いをすることになりそうですね」と話し、対応が遅れていることを心配していました。

1ポンド硬貨が新しくなったことを知らない市民もいて、新しい1ポンド硬貨を手に取った女性は「どこの硬貨かわかりませんね。あれ、エリザベス女王の肖像が描かれていますね。ああ、これは1ポンド硬貨なんですね。でも丸くないですね」などと、12角形という珍しい形に驚いている様子でした。