韓国検察庁は27日、収賄や職権乱用などの容疑で朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領(65)の逮捕状を裁判所に請求した。今月21日に朴前大統領の事情聴取が行われてからわずか6日で逮捕状請求という結論が下されたことになる。
逮捕状の請求を受けたソウル中央地裁では、令状の審査を専門とするカン・ブヨン裁判官が今月30日午前10時30分から審査を行うことになっている。法律に詳しい専門家の間では、朴前大統領が逮捕されるかどうかの結論は31日未明には下されるとの見方が出ている。
検察が大統領経験者に対する逮捕状を請求するのは、1995年の全斗煥(チョン・ドゥファン)・盧泰愚(ノ・テウ)両元大統領以来22年ぶりだ。検察は今回の逮捕状請求について「朴前大統領は権力を乱用したとみられ、また公務上の秘密を漏洩(ろうえい)するなど、容疑は非常に重い」とコメントした。検察はさらに▲多くの証拠が確保されているにもかかわらず容疑を否認しているため証拠隠滅のおそれがある▲共犯の崔順実(チェ・スンシル)容疑者や大統領府の元スタッフ、贈賄側の李在鎔(イ・ジェヨン)サムスン電子副会長らがすでに拘束されているため、今回逮捕状を請求しなければ公平性に問題が生じる-などとも説明している。
これに対して朴前大統領の弁護人団は▲朴前大統領は国政壟断(ろうだん)の共犯ではなく、賄賂を受け取ったこともない▲弾劾以降は自宅にとどまっているため証拠隠滅の恐れなどあり得ない-などと反論している。
今回の逮捕状請求の事由には、昨年10月から検察と特別検事によって把握された13種類の容疑が全て含まれている。検察はサムスンが崔順実被告に支援、あるいは支援を約束した213億ウォン(約21億円)についても朴前大統領が受け取った賄賂と見なし、これに収賄容疑を適用した。さらにサムスン側がミル財団とKスポーツ財団に拠出した204億ウォン(約20億円)と、冬季スポーツ英才センターに拠出した16億ウォン(約1億6000万ウォン)については第三者供賄罪を適用した。さらに検察は崔順実被告が朴前大統領の衣装代を立て替えていたことや、また大統領府官邸と安家の内装工事を自ら行ったことなどを理由に「私的な領域においても2人は密接な関係にあった」と令状に記載したという。朴英洙(パク・ヨンス)弁護士率いる特別検事チームによる捜査の結論にほぼそのまま従った形だ。
崔順実被告が両財団への拠出金とは別に、ロッテから追加で70億ウォン(約7億円)を受け取り、後にこれを返還したことについて検察は「朴前大統領の強要があった」と結論づけた。また崔順実被告がSKに追加で要求した80億ウォン(約8億円)は朴前大統領の逮捕状請求の理由に含まれていない。