福大大濠、控えの矢野捕手 エースの成長陰で支え
第89回選抜高校野球大会2回戦で26日、延長十五回引き分けの再試合となった滋賀学園戦を1失点で完投した福岡大大濠(福岡市)の三浦銀二投手(3年)。その努力を1年生の春から見続け、その球を誰よりも多く受けてきたのが控え捕手の矢野貴大(たかひろ)選手(3年)だ。変調を見逃さず、三浦投手は「試合前、矢野が球を受けてくれると安心する」と全幅の信頼を寄せる。2回戦の熱戦の間も、エースの調子に目を配り、声を掛け続けた。
「銀二、踏ん張れよ」。矢野選手は、延長十五回裏のマウンドに向かう三浦投手を励ました。笑顔が返る。「大丈夫だ」。矢野選手は確信した。期待に応え、三浦投手はサヨナラ負けの危機をしのいだ。
試合前の投球練習では、直球の球筋がきれいで「調子は悪くない」と感じた。三浦投手は一回に1点を失ったが尻上がりに調子を上げる。七回に「どんどんストライクを投げ込んで」とアドバイスするとうなずいた。延長十三回以降は「さすがに球が浮いていた。でも気迫はあり、点を取られる気がしなかった」と矢野選手。
高校に入って出会った。当時、三浦投手の直球は130キロ前後。1学年上には浜地真澄投手(現阪神タイガース)がいた。身長184センチ、最速150キロの先輩を超えるにはどうすればいいか。身長175センチの三浦投手は、球の切れと制球力を磨くため連日、10キロ走やスクワットで下半身を鍛えた。「銀二は努力家。力になりたかった」。どんな練習にも付き合い、アドバイスを続けた。新チームで絶対的なエースになった。
甲子園では抜群のコントロールや146キロの速球を見せた三浦投手に「銀二はもっとすごくなる」。28日の再試合でも、エースのサポートに徹する。
=2017/03/27付 西日本新聞朝刊=