法務省は28日、遺産相続の手続きを簡素化するため、被相続人と相続人全員の氏名や続柄などの戸籍情報が記載された証明書を5月下旬から発行すると発表した。これまでの遺産相続では、地方の法務局や銀行などにそれぞれ全員分の戸籍関連の書類を提出する必要があった。今後は必要書類を一度そろえて法務局に出せば、発行される証明書1通で手続きできる。
法務省は相続人の負担を軽くすることで相続手続きを促し、手続きがされずに所有者不明となって活用しにくい土地の発生などを抑えたい考え。
新制度では誰かが亡くなって遺産相続が発生した際、相続人の一人が全員分の氏名、続柄、生年月日などを記した「一覧図」を作成。亡くなった被相続人と相続人全員の戸籍をそろえて法務局に提出する。法務局は内容を確認して証明書をつくり、相続人には証明書の「写し」が公布される。この写しを様々な相続手続きで利用できる。
現行制度では不動産や銀行の預貯金の相続を申請するたびに必要な書類一式を用意して提出する必要があり、相続人の負担が重かった。新制度では一度証明書をもらえば、証明書の写しのみで申請できる。銀行などにとっても、書類一式を最初から確認する必要がなくなり、負担軽減になる。
法務省は相続税や車の名義変更などでも活用できるとみて、財務省や国土交通省など各省庁に新制度の証明書の活用を検討するよう求めている。