栃木県那須町のスキー場で登山講習会に参加した県立大田原高校の生徒ら8人が雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、講習会を主催した県高校体育連盟が、登山の予定を中止し、「ラッセル訓練」に切り替えたことを把握していなかったことが28日、分かった。8人の死因は雪の重みによる圧死だったことも判明した。
救助活動に参加した山岳救助隊のメンバーは28日、「生徒たちはラッセル訓練の休憩中に雪崩に襲われたと話していた」と証言した。
栃木県警は28日、那須塩原署に68人態勢の特別捜査班を設置。悪天候の中で訓練を行った引率教諭らの判断に誤りがなかったか、業務上過失致死傷容疑で調べる。引率教諭らが雪崩の発生をどの程度予測できたかが焦点となる。
県や那須地区消防本部は28日午前から現場上空にドローン(小型無人機)2機を飛ばした。雪崩が起きた状況などを確認する。
雪崩は27日午前8時半ごろ、那須温泉ファミリースキー場の第2ゲレンデの上部付近で発生。積雪をかきわけて歩くラッセル訓練中だった、県内7つの高校の生徒や教諭ら48人が雪崩に巻き込まれた。県立大田原高山岳部の男子生徒7人と顧問の男性教諭1人の8人が死亡。重傷者7人を含む40人がけがをした。
那須町周辺では26日から降雪が続き、27日も朝から雪が多く降ったため、気象庁は26日に発令した雪崩注意報を継続していた。
27日は講習会の最終日で、当初の登山計画では茶臼岳(那須町)の頂上を目指す「実技実習」の予定だったが、引率教諭らは雪のため登山を中止。急きょラッセル訓練に変更した。
県高体連(橋本健一会長)によると、登山を中止してラッセル訓練に切り替えるという連絡は連盟本部になく、講習内容の変更や中止の判断は現場の教諭に一任されていた。橋本会長は27日夜の記者会見で「危機管理は反省する点はある。過去の講習会についても検証する」と述べた。