自民 豊洲移転早期決断を求める
都議会の予算特別委員会は、27日も豊洲市場への移転問題について議論が交わされ、自民党は「希望を抱き、移転を決意した業者の思いを踏みにじる権利は誰にもない」と述べ、移転の早期決断を求めたのに対し、小池知事は新たに設ける戦略本部の議論も参考にすると述べ、総合的に判断する方針を改めて強調しました。
都議会の予算特別委員会は、豊洲市場への移転問題についての小池知事の答弁が十分ではないなどとして、自民党が審議時間の延長を求めたの対し、公明党や東京改革議員団それに共産党などが反対し、協議が断続的に続けられていました。
その結果、27日午後から始まった委員会の冒頭で、自民党の追加審議の提案に対する採決を行うことになり、自民党以外の各会派による反対多数で否決されました。
その後、各会派による質疑に入り、自民党の山崎一輝議員は早期の移転を求める立場から築地市場で営業を続けるリスクについて指摘しました。
このうち、築地市場の地面のアスファルトが一部ではがれ、土壌がむき出しになっていることなどを指摘し、「知事は安全安心だと主張するが、その根拠はどこにあるのか、この現状で安全安心だと言い切れますか」と繰り返しただしました。
これに対し小池知事は「安全性の確保に心して努めている」と述べ明確な答弁を避けたため、山崎議員は「都民にとって不誠実な対応だ」などと批判しました。
また、施設で広範囲に使用されているアスベストについて、市場長が営業を続けながらアスベストを撤去することは極めて困難だとする認識を示しました。
これを受けて、山崎議員は築地市場には耐震強度が足りない建物もあり、首都直下地震が発生すれば建物の倒壊は避けられず、アスベストが拡散し市場が機能しなくなると指摘しました。
さらに、小池知事の発案で新たに設けられる「市場のあり方戦略本部」について、ほかの専門家による検討会との役割分担があいまいだと指摘し、「戦略本部では築地に残るのか豊洲に移転するのか、二者択一の検討を行うのか、市場の民営化など第3の道を検討するのか」と述べ、議論の前提をただしました。
これについて小池知事は「民営化にいきなり飛ぶ考えはまったくない」と答弁し、山崎議員から「いきなりではないが、その先に検討するのか」「業者の不安を解消するためにも否定して下さい」と明確な回答を迫られると、「民営化ありきではまったくない」と述べました。
その上で小池知事は戦略本部の役割について「都民の理解と納得、豊洲・築地の課題、将来的なあり方の3つを検証するもので、議論を参考にする」と述べ、移転の可否は総合的に判断するという従来の方針を改めて強調しました。
これに対し山崎議員は「築地市場の業者は希望を抱き挑戦したいと移転を決意した。業者の思いを踏みにじる権利は誰にもない。多くの都民が知事の移転決断を待っており、決断こそが消費者の理解、安心の第一歩だ」と述べ、移転の早期決断を求めました。
公明党の東村邦浩幹事長は、豊洲市場の問題で、ロードマップ=行程表に沿った検討をスピード感を持って進めるよう求めました。
これに対し小池知事は「豊洲市場では、生鮮食料品を扱うことから800億円の土壌汚染対策費をかけて、安心・安全を確保しようということになった。さまざまな検証や成果を1つにまとめて、新たに設ける戦略本部で集約して検討する。ロードマップは変わらない」と述べました。
また、東村幹事長が東京オリンピック・パラリンピックの情報公開の徹底を求めたのに対し、小池知事は、「IOC=国際オリンピック委員会との関係では、開催都市契約を公表する方向で協議を進めている」と述べ、現在は非公開となっているIOCとの開催都市契約を公表するため、調整を進めていることを明らかにしました。