合同葬と言う葬儀の形をご存知でしょうか? 近頃、会社と遺族が協力して故人の葬儀を営む、合同葬と言われる葬儀を行うことが増えています。

これは、社葬や会社主催のお別れ会とは、また違った形の葬儀です。会社に貢献された方や、長く勤めて取引先諸方とも深いお付き合いのあった方などが亡くなられた場合、普通の葬儀ではなかなか間に合わないことも多くあります。そういった場合に、ご遺族と相談しながら、会社規模で営まれるのが合同葬なのです。
合同葬にはいろいろな意味があり、その葬儀の内容も規模も様々です。複数の会社が共同で営む葬儀も合同葬ですし、災害や事故で多数の方が亡くなられた場合に営まれる、大規模な葬儀も合同葬と言います。

この記事では、会社が主な準備を担当しつつ、亡くなった方の遺族とともに葬儀を営む合同葬に限定して、準備すべきことやマナーについて解説します。

-- この記事の目次 --
1.合同葬とは
2.合同葬の営み方
3.いくらかかる?合同葬の費用
4.どうしてやるのか。合同葬の意義
5.社員として合同葬を準備する場合
6.取引先として合同葬に参列する際のマナー
7.合同葬の喪家としてのマナー
8.参列者が絶対言ってはいけない言動とは?
9.近年注目されている「家族葬」と「直葬」喪主の為の基礎知識
まとめ

 

1.合同葬とは


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例えば身内の誰かが亡くなった場合、家族は私的な交友はわかっていても、社会的な関係はわからなかったりします。

一方会社側は社会的な関係は分かっても、個人的な交友はわかりません。

故人が取引先や同業他社との繋がりが多い場合、遺族だけでは対処が難しく、かといって会社側としても、遺族の意向を無視してあちこちにお知らせするわけにもいきません。

この2つを同時に解決できるのが合同葬です。

ただし何でも誰でも合同葬になるわけではなく、そこには合同葬ならではのルールややり方があります。

1-1.合同葬が営まれる場合あれこれ

まず合同葬は遺族ではなく会社側から提案があるものです。

創業者や会長社長といった会社のトップ、もしくは会社に多大な貢献のあった役員などが、合同葬の対象になります。

業務中に亡くなった殉職者の場合もありますが、これはかなり特殊な例です。

その会社に勤めていれば、誰でも合同葬を営んでもらえるわけではないのです。

そもそも会社が合同葬を営むのは、取引先をはじめとした関係各所に、故人の訃報をお伝えするということが第一にあります。

会社に深く関わっている人ほど、知り合いも多く社会的関係も深いものです。

かといって会社での故人しか知らない場合、どんな葬儀を望んでいたか趣味は何だったかなど、仕事上の言動からは知りようがありません。

一方の遺族側は、親戚や友人や趣味嗜好などは把握していても、会社の関係までは十分に把握していない場合がほとんどでしょう。

合同葬が営まれるような方であれば、お知らせするだけでも大変な数になります。

個別に対応するのはほぼ無理でしょう。

このような会社側遺族側の双方のために、合同葬は営まれます。

会社側は遺族側によくお話を聞いて葬儀の準備ができますし、遺族側は会社側に葬儀の次第は任せつつ、参列者に応対することができます。

会社にとっても遺族にとっても、何より故人にとって一番良い形で見送ることができるのです。

1-2.合同葬と社葬の違い

会社が営む葬儀として、社葬と言うものもあります。

お別れ会を会社が企画することもありますね。

でも合同葬は、社葬やお別れ会とまったく違います。

社葬もお別れ会も、故人を荼毘に付すいわゆる「お葬式」は、もう終わっているのです。

遺族や親しい方々でのお葬式を終えた後で、あらためて会社としての葬儀や会を設けるのが、社葬でありお別れ会です。

故人の遺影はあっても、最後にお顔を見るようなことはできないのです。

合同葬は遺族と会社が一緒に営む「お葬式」です。

故人の亡骸が安置された祭壇があり、個人的な知り合いも仕事上の知り合いも、一緒に故人を見送ります。

遺族とは面識のないような人でも、故人と深い付き合い、長い付き合いの参列者がいるかもしれません。

社葬やお別れ会では最後に顔を見ることはできませんが、合同葬ならば直接お別れを言うことができます。

もちろん葬儀の流れによっては、直接顔を見ることはできない場合もあるでしょう。

参列者の数は一般の葬儀より大規模になりますし、遺族に無理も言えないこともあります。

それでも故人に目の前でお別れをしたいと思うような、そんな会社関係の方にとっては、合同葬は最後の機会になるのです。

1-3.合同葬は故人の宗教で見送るもの

社葬やお別れ会は、基本的に無宗教になります。

これはすでに葬儀は終わっているため、宗教色を無くして行うからです。

お骨葬になる場合が多いため、ホテルを利用することもでします。

ホテルではご遺体を安置することができないからです。

一方合同葬では遺族の意向によって、特定の宗教でお見送りします。

仏式の場合もキリスト教式の場合も神式の場合も、合同葬ならば可能です。

ただし式場は葬儀会館やセレモニーホールのような斎場になります。

2.合同葬の営み方

[caption id="attachment_1882" align="alignnone" width="386"] 出典元:http://photomaterial.net/b0070/[/caption] 合同葬自体はあくまで普通の葬儀と同じです。

ただ当然ですが、亡くなって数日のうちに、すべてをまとめてこなさなければなりません。

実際にどんなことが必要になるのか、あくまで例の1つとして挙げておきます。

2-1.合同葬の流れ

社内で重要なポジションにいる方が亡くなり、葬儀を合同葬とすることが提案されたとします。

最初に確認すべきは遺族の意向です。

静かに家族だけで見送りたいと思っている場合には、そもそも合同葬はできません。

その場合は後日社葬やお別れ会が開かれることになります。

遺族が合同葬に同意されたなら、役員会などで葬儀委員長を決めます。

喪主は弔問を受ける役目ですから、遺族が勤めます。

喪主は故人の妻や長男が多く勤めますが、葬儀委員長は社長や次期社長クラスの人物が勤めることが多いです。

喪主と葬儀委員長と葬儀社でよく話し合い、弔問客の人数や会場の規模などを決めていきます。

その間に遺族側は親戚や故人の友人知人に、会社側は取引先など関係者に、故人の訃報を通知します。

会社側は通知リストを作って、連絡に漏れの無いようにします。

新聞に訃報広告を出して、合同葬の日時を告知する場合もあります。

香典や供花をどうするのかについても決めておきます。

香典をいただけば香典返しが必要になり、供花をいただけば並べる順番についても考えなければなりません。

そのため会社関係では香典・供花とも辞退することも増えています。

どなたかに弔辞をお願いするのであれば、その方には別途依頼が必要になります。

来賓名簿を作り、席順と焼香の順番についても決めておきます。

こういったことについては葬儀社がプロですから、細かい段取りを教えてもらえます。

ただしいろいろな問い合わせは会社に来ます。

社内で担当部署または担当チームを決めておき、合同葬に関してはそちらに任せるようにするとスムーズでしょう。

細かいあれこれも多くありますが、会社にとっては踏ん張り時でもあります。

日時と場所、葬儀の形式が決まれば、あとは内外に失礼のないように葬儀を営むだけです。

通夜葬儀とも無事終えたなら、会葬御礼の広告を出すこともあります。

2-2.合同葬について事前に調べておきたいあれこれ

葬儀の準備を考えることは、縁起が悪いと思われることもあって、なかなかできることではありません。

けれど会社としては、最低限の用意をしておくべきです。

規定を設けておけば、何かあってもスムーズに動くことができます。

社内の連絡網の整備や、関係各社の連絡名簿を用意しておくだけでも、葬儀準備の慌ただしさは軽減されます。

一番いいのは、会社として社葬や合同葬について、社葬取扱規程などを整備しておくことです。

慶弔規定がある会社は多いのですが、社葬規定はなかなかありません。

これは後日の税金処理にも関係してきます。

慶弔規定があるのであれば、社葬規定も作っておくべきでしょう。

社内の緊急連絡網だけでなく、取引先などの会社関係の連絡網も整備しておくと便利です。

特にお付き合いに応じて優先順位を明確にしておけば、弔辞をお願いする場合や来賓の席順などでも困りません。

参列者の数も大まかに把握できますから、式場の選定や駐車場の準備にも役に立ちます。

社葬であれば時間的な余裕がありますが、合同葬では通常の葬儀と同じスピードで進めなければなりません。

事前準備は縁起が悪いことではなく、故人を見送るために大切なことなのです。

2-3.お通夜と葬儀を分けることも

遺族によっては、合同葬は有難いけれど静かに見送りたいという気持ちもあるかもしれません。

そんな時は、お通夜は遺族や親族のみ、葬儀は合同葬でといった提案もできます。

遺族の中でも、静かに見送りたい家族と、社会的立場も合わせて見送りたい家族で、意見が分かれることもあります。

お通夜を静かに済ませ、翌日の合同葬はたくさんの仕事関係者にも見送ってもらえば、遺族もですが、故人も嬉しいかもしれません。

3.いくらかかる?合同葬の費用


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一般の葬儀と違って、合同葬となると規模はかなり大きくなります。

規模が大きくなれば当然葬儀費用も大きくなりますが、会社負担であればかなりの部分が経費として認められます。

大雑把にではありますが、費用全般についてご説明します。

3-1.合同葬に充てられる経費について

法人税基本通達9-7-19に「法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行うことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出 した日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。

」と規定されています。

上記の規定により、故人の会社への貢献が認められて社葬を行うに相当するとされた場合、葬儀の費用は福利厚生費として処理することができます。

なのでたとえば社長の家族であっても、会社と無関係であれば社葬の対象にはなりません。

またあまりに過剰な葬儀費用の場合も、認められることが難しくなります。

葬儀費用の対象になるのは、領収書が明確に出されるものです。

僧侶へのお布施や戒名料は対象にならない場合が多いです。

葬儀後の初七日や四十九日といった法要の費用も、合同葬の費用としては認められません。

このあたりは遺族と十分に話し合い、どこまでを会社が受け持つのかはっきりさせておきましょう。

3-2.遺族と分担すべき役割

合同葬において、会社側はあくまで葬儀委員長=施主であって、喪主は遺族の誰かです。

施主は葬儀の全般を執り行い、喪主は参列者の弔問に礼を返す立場です。

どんな宗教でどんな宗派で葬儀を行うのかを決めるのは遺族です。

無宗教でという遺族もおられるかと思いますが、たいていはなんらかの宗教による葬儀になります。

そして宗教にかかわる費用は、会社ではなく遺族の負担になります。

戒名料や僧侶へのお礼などがそれにあたります。

これは仏教であれ神道であれキリスト教であれ変わりません。

3-3.香典の扱い

香典は本来税金が発生しない収入です。

一般の葬儀であればすべて遺族が管理し、遺族側で香典返しなどを手配します。

けれど合同葬でこれを行うと、会社関係への香典返しなどが膨大な数になったりします。

かといってすべて会社にとなると、収入として計上されてしまう可能性があるのです。

最近はこのあたりの煩雑さを回避するために、香典や供花も辞退することが増えています。

親族は身内として香典や供花をしますが、これは遺族が対応すればすみます。

こういったことも含めて、事前に税理士や葬儀社などに相談しつつ、社葬についての社内規定を決めておくことをおすすめします。

4.どうしてやるのか。

合同葬の意義


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合同葬は会社に長らく貢献してくれた故人を悼むという意味だけではなく、会社にとってもいろいろな意義があります。

葬儀に意義を求めることに複雑な感情を抱くこともあるかもしれません。

けれどこれは決して悪いことではないのです。

4-1.合同葬は企業の在り方と事業の承継を発信する場

例えば会社の社長が亡くなったとします。

それはとても悲しいことであると同時に、社員や取引先などの関係各社にとっては、「今後どうなるのか?」と不安になる状況でもあります。

合同葬はそういった不安を払拭できる場にもなります。

合同葬は3日~5日という、大変短い時間で葬儀を行わなければなりません。

次期社長と目される人物が施主となった場合、葬儀を的確に仕切って動揺を周囲に見せず、立派に合同葬を勤め上げたら、その人の評価が上がることはあっても、悪くなることはまずありません。

結果社員も関係各社も、「これからも大丈夫だ」と思えることになります。

高齢の方や長い病気の方であっても、人が亡くなるのは急なものです。

それを乗り切って「我が社は急な事態にも相応の対処ができます」「これからも全社一丸となってやっていきます」とアピールすることは、亡くなった方にも安心していただけることなのです。

4-2.合同葬で縁の深い取引先にもお別れの機会を

遺族が身内での葬儀を終え、しばらくしてから社葬やお別れ会を行う場合があります。

合同葬は遺族と会社が協力して葬儀を行います。

どちらが良いという問題ではありません。

年配の方の合同葬であった場合、長くお付き合いのある会社関係者が多くいることになります。

個人的な交友は無かったとしても、社会的な交友は相当に深くなります。

後日の社葬でもお別れ会でも、冥福を祈って別れを告げることはできます。

けれど合同葬では、故人の目の前でそれができます。

何が一番いいとは誰にも言えないことですが、目の前で最後のお別れができるというのは、長い付き合いであればあるほどありがたいことかも知れません。

合同葬はその機会を提供する場でもあります。

4-3.合同葬は遺族の負担を軽くする

会社で重要な立場にいるような人が亡くなると、一般の葬儀をするにも関係者の数はかなり多くなります。

会社とまったく切り離して家族葬という場合でもなければ、会社関係の参列者を把握するだけでも大変です。

合同葬であれば、遺族が連絡すべきは、親戚や友人知人のみになります。

悲しみをこらえて葬儀社と慌ただしい打ち合わせをする必要も、あれこれ準備に奔走する必要もありません。

葬儀について会社と葬儀社によくお願いをしておけば、あとはきちんと進めてもらえます。

家族が亡くなってそれだけでも大変な遺族にとって、葬儀の負担が軽くなることは、周囲が思う以上にありがたいことでしょう。

もちろん家族だけで密やかに見送りたいという遺族もおられるでしょうから、何が何でも合同葬をごり押しすることはできません。

それでも自分の家族が大勢の人に惜しまれれ悼まれながら見送ってもらえることは、遺族にとって大きな慰めになることもあります。

そのためには遺族の希望をきちんと聞いて、遺族の負担が少しでも軽くなるような葬儀に協力することが大切です。

5.社員として合同葬を準備する場合


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合同葬の責任者は葬儀委員長ですが、手足となって動くのは主に社員であると思います。

数百人が弔問に訪れるような葬儀では、会場や駐車場での案内なども、葬儀社だけでは手が足りなかったりします。

もしも社員として合同葬の担当チームとなった場合、どんなことに気をつければいいのでしょうか。

5-1.合同葬は葬儀委員長を中心に動く

合同葬の葬儀委員長が誰になるかは、絶対的な決まりはありません。

多くは訃報を聞いた後の緊急役員会などで決まります。

葬儀委員長は葬儀全般の責任者ではありますが、細かい作業はおそらく葬儀担当チームの仕事になります。

具体的には関係各社への訃報の伝達、葬儀広告をだすならばその手配、葬儀社に連絡して打ち合わせ、もちろんその時点で遺族にはきちんとお話を聞かなければいけません。

おそらくはひっきりなしに近く、問い合わせの電話やメールなどが来るかと思われます。

それについても窓口をきちんと決めて、効率よくお返事できるようにしておきましょう。

香典・供花をどうするか、来賓名簿の作成や順番についてなど、できれば先に社葬規定でもって決めておきたいところです。

どうしても葬儀担当チームでは決められない問題、葬儀社でもわからない問題などは、葬儀委員長に判断を仰ぎます。

できるだけの筋道を作った上で、要所は葬儀委員長に判断してもらう形になります。

5-2.遺族と十分に打ち合わせる

合同葬は会社の葬儀ではありますが、遺族にとっての葬儀でもあります。

一番大切なのは、なんといっても遺族の気持ちです。

仏式での葬儀を望んでいる遺族に、無宗教式を押し付けるようなことは絶対にするべきではありません。

会社が葬儀の準備をしてくれることで、遺族はゆっくり故人とのお別れの時間が持てるでしょう。

それは遺族にとってとてもありがたいことではありますが、だから会社のやりたいような葬儀にしていいということではないのです。

その点で行き違いが起きないように、遺族の方にはしっかりお話を伺って、葬儀社も交えた3者でだいたいの流れを決めておくとよいでしょう。

5-3.合同葬に参列する一般社員の心得

合同葬には、全社員が参列する場合もありますが、各課の代表が参列するといった場合もあります。

これは何が正しいではなく、社員数や会場の規模などによって違います。

社員が参列する場合、制服のあるところなら制服で参列することもあります。

喪服であれば誰しも気を付けることなのですが、制服で参列する時、うっかり靴下や持ち物の色にまで気がいかないことがあります。

靴下やハンカチやバッグなど、葬儀にふさわしくなるよう注意しましょう。

葬儀を担当するのは担当チームの仕事ですが、参列した社員がやたら私語などしていては、担当者の努力も台無しになります。

自分自身も会社の1員である自覚を持って、通夜葬儀に参列しなければなりません。

一般社員の香典などについては、会社ごとに規定がある場合もあります。

個人的にどうすれば良いかは、上司など目上の方に相談しましょう。

6.取引先として合同葬に参列する際のマナー


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取引先の合同葬に参列するのは、会社のトップクラスの誰かが一般的です。

関係が深い会社であればあるほど、失礼のないように気を付けたいものです。

いくつかのポイントをピックアップしてみました。

6-1.合同葬に出席する場合

合同葬の連絡をもらったら、まず誰が参列するかを決めなくてはなりません。

故人とお付き合いの深い人がいれば、その人が参列することになりますが、会社としての付き合いであれば、故人と同格の役職の誰かが参列するのが基本です。

ただ葬儀というのは急なものであって、どうしても参列できない場合もあるでしょう。

そんな時は代理人を立てることになります。

代理人には必ず参列できなかった本人の名刺を持たせ、本人が参列できないことについて一言お詫びを告げるべきです。

葬儀に参列する際に出す名刺は、右上に「弔」の文字を入れておくか、左下の角を折って出します。

代理人の名刺は求められたら出しますが、右上の部分に「代」と入れておきましょう。

名刺だけではなく芳名帳にも記名します。

代理の場合は名刺の名前を記名したあと、小さく「代」と書いて自分の名前を書きます。

住所などは会社の住所になります。

6-2.合同葬での弔電やお悔み状

関係のある会社の合同葬に、代理人であっても参列しないことはまずありえません。

一般の葬儀であれば、参列した場合は弔電はいりませんが、合同葬や社葬では、参列していても弔電を打つ場合がほとんどです。

特に代理人を立てる場合には、弔電だけではなく、改めてお悔み状も送る方がよいでしょう。

弔電は葬儀の前日までに届くように手配しましょう。

本来は喪主宛てに送るものですが、合同葬の場合は宛て名は会社にします。

お悔み状は葬儀の後に、出席するはずだった本人から送ります。

6-3.合同葬での香典やお供物について合同葬で香典や供花をどうするかは、会社によって違ってきます。

社葬やお別れ会と違って、合同葬は宗教的な葬儀となります。

そのため、香典も供花も辞退される場合もあれば、仏式の「御香典」は使えない場合もあります。

香典や供花を辞退される場合は、たいてい合同葬の連絡と同時に知らされます。

もしも曖昧であったら、やはりきちんと確認することです。

香典・供花だけではなく、葬儀の宗教・宗派についても確認しておきましょう。

供花を手配する場合は、電話で注文するだけではなく、メールやFAXできちんと依頼したほうが無難です。

これは社名や名前の文字間違いを避けるためでもあります。

葬儀の前日には届くように手配します。

6-4.絶対ダメ!なマナー違反

合同葬に参列した時、自社の取引先など、見知った人が多いかもしれません。

久しぶりに会うようなこともあるかもしれませんが、あくまで葬儀の場ですから、歓談するような空気はタブーです。

名刺交換などは失礼の最たるものでもあります。

代理で出席した場合など、喪主や施主に挨拶することはあっても、参列者に名刺を渡す必要はありません。

故人を悼み見送るための場であることを忘れず、会社の代表として相応しい態度で参列しましょう。

7.合同葬の喪家としてのマナー


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合同葬が決まると、葬儀の準備や進行はほぼ会社と葬儀社の担当になります。

喪家として遺族の誰かが喪主となりますが、喪主として喪家として、どのように過ごすべきか考えてみましょう。

7-1.合同葬の喪主と施主の違い

葬儀には喪主と施主がいます。

喪主は喪家=遺族の誰かになります。

妻であったり息子や娘であったり、基本は縁続きの誰かです。

施主は喪家の誰かである必要はありません。

喪家を手助けして、葬儀全般を執り行う役をするのが施主です。

合同葬の場合は葬儀委員長=施主である場合がほとんどです。

もちろん会社によっては、故人=会長で喪主はその妻、施主=会長の息子である社長、などといった場合もあります。

喪主は血縁、施主は血縁の無い誰かと決まっているわけではありません。

あくまで喪家の代表が喪主、会社の代表が施主となるだけです。

7-2.合同葬での親族の位置

合同葬では、喪家を含めた親族は、ほぼ葬儀の準備にはかかわりません。

すべてをお願いして、自分たちはゆっくりと故人と別れを惜しむことができます。

一般の葬儀では、一般の香典・供花は辞退しても、親族からは受けるのが普通です。

ただ合同葬の場合はそのあたりが曖昧になります。

香典はいただくけれどすべて会社側が受け取って、その後も対応する場合もあります。

親族のみ喪家が対応する場合もあるでしょう。

いずれにしても、合同葬を提案された時点で、何をどのように進めていくか、十分に話し合う必要があります。

どうしてもやりたくないことを、我慢する必要はありません。

そのかわり、会社側の都合をすべて無視することもできません。

親族の立場としては、喪主と施主が十分に話し合ったことを受け入れて、決まったことに従ってお見送りをするのが一番です。

7-3.合同葬における会社の部分と家庭の部分

家族にとって、家庭での故人の顔を知っていても、会社での故人の顔はわからない場合がほとんどです。

合同葬になると、それまで知らなかった、会社での故人の顔を見ることもあるでしょう。

合同葬の規模は会社ごとに違いますが、一般の葬儀より数倍もしくはもっと多くの参列者が予想されます。

故人はそれだけの仕事を、社会的に為しとげたということが、合同葬によって遺族にも伝わります。

遺族の意思で故人の好きだったものを葬儀に取り入れれば、会社関係者には意外な一面が見られることでしょう。

合同葬はその両方を活かすことができる葬儀形式なのです。

まとめ


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日本人の多くは、社会的にかなりの地位にある人でも、大掛かりな葬儀をしようとはなかなか思いません。

それは謙譲の気持ちではありますが、お別れを言えなかった人にとっては、やはり寂しいものです。

家族に家族の繋がりがあるように、社会には社会の繋がりがあります。

豪華絢爛な葬儀など必要ないかもしれませんが、家族にも会社関係者にも、別れを告げて旅立ちたいと、何より亡くなった本人が思っているかもしれません。

そんな故人の思いをかなえるために、合同葬という葬儀が年々増えているのではないでしょうか。