いつの間にやら中堅社員になってしまったアラサーの山下湯金です。
仕事に対する評価は可もなく不可もなくで存在感の薄い私ですが、「投資やら貯蓄やら財テクにやたら詳しい人」ということで、社内にて有名になってしまいました。
特に入社1~2年目の若手社員たちによく聞かれます。
「お金や投資について教えてほしい」って。
よくわからないお金の話を教えてくれる、最も身近な人間として認識されているようです。(もちろん嬉しいことですが。)
合計で10人くらいに話してきたことを備忘録も兼ねて、ここに残しときます。
①そもそも何故お金を貯めたいのか?
まず最初に、「なんでお金を貯めたいの?」ということを聞きます。
「実は自分のお店を開業したくて、3年以内に1000万円必要なんです!」
みたいに明確な期限と金額がある人はまずいません。
「いや、なんとなく不安で、できれば貯めたいなー」
「何かあった時のために、安心できるお金を貯めたいんです」
「預金通帳の残高だけがどんどん増えていってるんですが、このまま銀行に預けっぱなしでいいのか不安で。」
みたいな、
・なんとなく不安だから貯めたい派
・銀行に置きっぱなしは損してる気がするから他の方法を知りたい派
がほとんどです。そしてこれから私が書く記事の内容は、そうした漠然とした不安を持つ多数派の人向けです。
短期間で○○万円貯めたい!みたいな人に対してはアドバイスできませんので、そういう人はブラウザバックをお勧めします。
②銀行にお金を預けている=投資している、という認識をもっているのか?
今どきの正規雇用された20代社員で、毎月カツカツで常に銀行口座はスッカラカンです、みたいな人はまずいません。(よその会社は知りませんが)
だいたいみんな、毎月いくらかずつは銀行口座の預金が増えていってます。ですが、
「銀行口座に毎月お金を貯めていくことが正しいのか?」
「貯めている金額は十分なのか?」
という2点を疑問に思うから、私のところにお金について教えてほしいと聞きに来るわけです。
ということで、まずは銀行に預金するという行為に対してどんな認識を持っているのかを確認します。
「銀行口座にお金を預ける、ということは投資しているということなんだよ。君は既に投資活動をしている。これ以上何を知りたいんだい?」
という意地悪な質問をすると、だいたい「は?」みたいな顔をされます。
「この超低金利時代とはいえ、ゆうちょの普通預金でも金利が0.001%は付くんだよ。100万円を1年預けたら10円の利息が付くんだけど、それじゃ足りないの?」
という回答をすると、私の質問の意図が伝わります。
「いや、それじゃ足りないんです!」
という回答が返ってくるので、
「じゃあ何%欲しいのか、そこをまず決めようか。」
と次につなげます。
③投資とパチンコ・競馬は何が違うのか?
投資の基本、リスクとリターンの話をしていきたいところですが、まずはギャンブルについての話をします。
投資とパチンコはいったい何が違うのか?なぜ私がパチンコではなく投資を勧めるのか?
まずは、
「お金を増やすためにパチンコや競馬はやらないの?」
という質問をします。(大前提として、ギャンブルやってない人が質問に来てます。)
「ギャンブルは怖いからやりたくない」
もしくは
「パチンコや競馬は胴元の取り分が多すぎて損だからやりたくない」
という感じの答えがだいたい返ってきます。
胴元、テラ銭という概念を理解している人は後者の答えを返し、そうでない人は前者の答えを返します。
ここで後者の答えを返した人は、投資について語れば語るほど響いて、実際に証券会社に口座を開いてくれる人が多いです。
前者の答えを返してくる人は、どれだけ熱く投資について語っても、結局証券口座を開かないパターンが多かったです。
で、どちらの答えが返ってきても、こちらから説明する答えは同じ。
「投資とはただのギャンブルで、必勝法はない。どれだけ勉強しても、どれだけ時間を注いでも、どれだけ真面目にやっても、負けるときは負けて損をする。ただのじゃんけん大会やビンゴゲームみたいなもの。」
投資=ギャンブル、という認識をまずは植え付けます。
④ギャンブル=悪ではない。期待値が1未満であることが悪。
投資=ギャンブル、と聞くとピュアな若手社員はガッカリします。正社員の座を勝ち取った彼らの多くはこれまでの教育でギャンブル=悪、と刷り込まれてますから。
なので、ギャンブル=悪ではなく、期待値が1を下回る行為に参加することが悪なんだ、ということを説明します。
「私と君で、じゃんけん大会を開こう。参加費は1000円で、じゃんけんで勝った方が集まった参加費を貰える、というルールはどうだい?」
なんのこっちゃ、という顔をされますが、続けます。
「とは言え、私と君しかいないと、負けた方が参加費を踏み倒す可能性があるよね。あそこの店員さんを審判として雇わないか?2人が出した合計2000円の参加費のうち、500円を払ってあの店員さんに審判をやってもらわない?」
は?というリアクションが続くので、本題に入りましょう。
「君はこのじゃんけん大会に参加したいかい?」
もちろん、こんなじゃんけん大会に参加したくありません。みんなで出した賞金のうち、25%を審判に払うなんてアホらし過ぎます。
「じゃあこうしよう。私と君とで1000円ずつ参加費を払って、じゃんけんで勝った方が賞金2000円を貰うという大会は開くけど、観客を集めて入場料を払って貰おう。そうだな、1人1円ずつもらって、合計200人集めようか。そしてその入場料も賞金としよう。それなら勝った方が2200円もらえる。」
「こんなじゃんけん大会なら参加したいと思わないか?」
そう聞くと、やっと頷いてもらえます。
お互い1000円を出し合って、勝った方が2000円を貰う。これがゼロサムゲーム。
お互い1000円を出し合って、審判を500円で雇って、勝った方が1500円を貰う。これがマイナスサムゲーム。
お互い1000円を出し合って、更に観客から入場料200円を集めて、勝った方が2200円を貰う。これがプラスサムゲーム。
世の中には3つのゲームがあって、ほとんどのギャンブルは審判、つまり運営者にお金を余分に払う必要があるマイナスサムゲームだから、ギャンブルは悪だとされている。
そしてゼロサムゲームは理論上は1円も儲からないし損もしないから時間の無駄。
唯一、プラスサムゲームだけは参加者全員が潤う可能性のある、参加する価値のあるギャンブルで、投資とは唯一のプラスサムゲームである、ということを熱く語ります。
⑤なんで投資だけがプラスサムゲーム?
先ほどの 観客を集めるじゃんけん大会はプラスサムゲームでしたが、金を払って一般人2人のじゃんけん大会を見に行きたい人はいませんよね。
プラスサムゲームというのは、参加者以外がお金を出してくれる場合にのみ成り立ちます。何故投資だけがプラスサムゲームなのでしょうか?
投資とは、株や債券などを売買する行為。これは経済という巨大生物の血液を循環させる行為で、誰かがやらなければいけません。ですがリスクを伴う行為なので、やれる人は限られてます。
循環させるためにリスクを取ると、みんなが喜びます。経済の発展はみんなの生活を豊かにするからです。そんなリスクをとる貴方を見たい、そう思って多くの観客が集まって、入場料金を払ってくれます。そうして投資はプラスサムゲームになるのです!
と、ここはあいまいな感じで流しましょう。投資は必ずしもプラスサムゲームじゃないですし、天然資源からエネルギーを取り出す技術があって、始めて投資はプラスサムゲームになる、という話は省きます。ややこしいので。
とにかく、投資は尊い行為であり、そこに参加する人はその勇気を称えられて、世界中の観客から集めた入場料金が貰える、みたいな話をしましょう。
1日で書ききるのは大変なので前後編に分けました。
後編は
・プラスサムゲームの必勝法は、長く居座ること。
・市場平均で十分。じゃんけんのプロがいないように、投資のプロもいない。
・なんとかショックがまた起こって、会社がつぶれて、月収0円になって、資産が半分になっても、投資を続ける覚悟はあるのか?
・俺は約2年間の投資で30万円くらい儲けた。ちなみに同期のアイツは俺より1年早く出世したおかげで俺よりも年収が40万円くらい高いよ。君は限られた時間をどう使うの?
の4つでお届けします。(多分、思い出したら増えるかも)
4つ目はタイトル長すぎですが、ある意味入社1~2年目の若手社員に最も伝えたいことなので、熱く語る予定です。
お風呂だけじゃなくて、お金に関する記事も実は書いてる山下湯金でした。