新規ゲノム解析を飛躍的に低コスト化する技術が発表。細胞内に折り畳まれるDNA情報を3Dマッピング
折り目が重要
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ベイラー医科大学、ライス大学およびMITとハーバード大学が共同運営するBroad Instituteが、生物の完全なゲノム情報を新規に解析するための新技術「3D genome assembly」を開発しました。この方法の特徴は、通常なら数十万ドルがかかるとされるリファレンス用ゲノム解析(De Novoシーケンス)が、だいたい1万ドル(約110万円)以下でできるというところ。
これまでも、目覚ましい発達を遂げてきたDNAシーケンス技術ではあるものの、何十億もの塩基対からなるゲノムをゼロから解析するにはDNAを細切れにしてサンプル化し、解析するという手間があり、非常に高いコストがかかりました。また、たとえばヒトゲノムは個体それぞれによって微妙に異なるため、病気の患者の遺伝子上の変化や問題を探そうとしてもその差異が原因となって見落としてしまう可能性もありえました。
3D genome assembly技術では、DNAを細胞一つ一つに畳み込まれた塊状態のまま、その折り目ごとにマッピングすることで、そのシーケンスを素早く完全に再構築できます。この方法なら新たな研究の際、研究者がDNAのを調べるのにその全容を知っておく必要もなくなり、コストも非常に低く抑えられるとのこと。
研究チームはデング熱やジカ熱を媒介するネッタイシマカのゲノム12億にのぼる塩基対データを、3D genome assemblyによって解析し、3種類の染色体の情報を完全に再構築できました。この解析で得たデータには、蚊の遺伝子がウィルスを媒介しない性質を与えることで、ジカ熱やデング熱の流行を押さえる効果を生み出すことも期待されます。
蚊よりも高度な生物であれば当然遺伝情報も大きく増えるため、新技術でもより多くの解析の手間がかかります。しかしコスト面でのメリットは有効であり、技術が広範に普及すれば、生物学だけでなく医学の分野で大きなメリットを生み出すことが期待されます。
ベイラー医科大学の研究者Erez Lieberman Aiden氏は、3D genome assembly技術は当然、蚊以外にも植物から哺乳類にいたるまで、かんたんに適用することができるだろうと語っています。
[Image : Getty Images/iStockphoto]