3/26(日),調布のこども食堂に行ってきた.最近こども食堂が急速にあちこちで広がっていて関心をもっていたが,なかなか行く機会がなかった.場所は京王線布田駅近くの公民館のようなところ.
15時半頃に開始.こどもたちが集まり始める.雨ということで(?)ドラえもんのDVD上映.
その間に,ボランティアのみなさんが調理開始.いろいろ凝ったトッピングをつくっているが・・.
なんといろんな動物の形で盛りつけされている!
ずいぶんかわいいカレーができた.
こどもは100円.おかわりして腹一杯食べられる.小さい子にはボランティアのおばあちゃんが一緒に会話しながら食べているのが興味深かった.
多世代が交わるコミュニティがとても興味深かったので,一気に取材モードに.主催者の方々にいろいろ聞き込んだのでメモ.
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・こども食堂の発祥時の定義は,「こども食堂とは、こどもが一人でも安心して来られる無料または低額の食堂」。 だが,今ではさまざまなスタイルがあり,10箇所有ればたぶん10箇所ともやっていることは異なるという.湯浅氏によると,大きく「共生型」と「ケア型」の類型がある.
・ちょうふこども食堂は,「居酒屋はまどおり」の店長,T氏によって昨年から始められた.月一開催ペースの開催で,この日で11回目.
・T氏は震災を機に会社を辞め,福島の食材を応援するための「居酒屋はまどおり」を開店.さらにその売り上げをなんとかして地域社会に還元できないか,を考えている折に,こども食堂のことを知り,はじめてみることにした.
・最初は自分の店でやっていたが,だんだんこどもたちが集まりすぎて入りきれなくなったので,近所の公民館を借りて運営することに.食材や調理場所は店のものを流用するなどして費用は一回の開催経費は1万程度.(そのうち,公民館を借りるのに数千円かかっている)
・こども食堂は,お店の常連やアルバイトを中心にしたコミュニティで運営.なんと中心人物の一人Sさんは専大の学生.彼女経由で手伝いにきていた学生数名はみんな専大生(!)
・こども食堂を続けているうちに,「力になりたい」という高齢者の方もたくさん現れ,子供・大学生・高齢者など,自然な多世代交流の場になっている.
・ボランタリーな組織で持続性をつくるのはとても難しいと思われるが,無理なことは絶対にしないからこそ続けられている,とのこと.
・食に関わるリスク回避の声にはどう対処しているのか,という質問には,店で安全に調理していることをアピールするとともに,アレルギー対策は申込時にしっかりしている.アレルギーのある子には別メニューをつくたりもしている.それ以上のネガティブな意見には「どこかで押し切るしかない」.
・なんで居酒屋にそんなコミュニティがうまれるんだろ,と不思議だったが,「はまどおり」は店のなりたちから復興支援という名目があるので,そういう社会的な問題に関心を持つお客さんが自然に集まるようだ.
・お店でもお客さんから運営の寄付があつまっているそう.ワリカンを切りの良い数字にしておつりを寄付に回す,というのはできそうですよね,と僕が思いつきのアイデアを言ったら,そんなことをしなくても「これ,こども食堂につかってください」とポンと寄付してくださることもあるようだ.
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コミュニティの源流がT氏の自発的なものから始まっていることがとても印象に残った.本人は「そんなに難しくない,だれでもできますよ」と謙遜していたが,最初に行動し,動きを作ること,それが難しいのだと思う.最近デザインと「贈与」の意味をずっと考えていたのだが,肩肘張らないT氏の活動はいろいろと示唆的だった.まず自分がギブすることで,何かが始まり,人と人の関係が生まれていくのだ.
Adam Grantのgiverの話を思い出した.