2017年3月27日(月)

寂しそう…飛べないコハクチョウ、仲間に会えず 川島に1羽残る

川島町の越辺川にある堰(せき)の手前で飛来地方面を見つめる左翼のないコハクチョウ(堀口恭男さん提供)

 コハクチョウの越冬地として知られる川島町の越辺川。3月上旬まで60羽ほど確認できたが、すでに故郷のシベリアに旅立った。その中で左翼を失い飛べないコハクチョウが今年も1羽残った。地元のバードウオッチャーが温かく見守っている。

 飛べないコハクチョウは、バードウオッチャーから「チビちゃん」と呼ばれている。

 桶川市の堀口恭男さん(73)が仲間のバードウオッチャーから聞いた話によると、2014年3月ごろ、エサを取りに行った田んぼで犬に襲われたとみられ、飛来地に戻ったものの左翼を失った。以来、当地にとどまり、過ごしている。

 ところが昨年10月ごろ、再び“災難”が襲った。飛来地に乗り入れたボートに驚いて川を下り、一時は行方不明になっていた。その後、数キロ下流の落合橋の下流付近にいることが確認されたが、飛来地までは二つの堰(せき)があるため戻れなくなった。

 今シーズンは多い時で200羽ほどの仲間が飛来したが再会できず、寂しそうだったという。

 堀口さんは「けがをして国内で越冬するコハクチョウは珍しいことではないようだ」と説明。「埼玉の地でたくましく命をつないでいる姿に感動している観察仲間が少なからずおり、世話もしているが、せめて元いた飛来地に戻れれば良いのだが」と話している。

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