こんにちは ! 熊本パルコ店 ドラム担当の坂田です。
思い切り叩きながらのドラム練習、これは確かに気持ちいいんですが、曲と合わせて練習したい時もあるはず。そんなとき自分のドラムの音に負けないくらいの音量で曲を流して、それでもよく聴こえない、なんてことありませんでしたか?
そんなときにお勧めしたいのが、ヘッドフォン、またはイヤフォンを使った練習。普段通りの力で叩きながら曲の細かい部分も確認できる。やったことがない人には是非一度試してもらいたい、そんな思いから今回のレビュー記事を書いてみました。
ヘッドフォンは3つのタイプがあります。密閉型(クローズド型)、開放型(オープンエア型)、そして中間に位置する セミオープン型 です。それぞれの特徴を簡単に説明します。
今回は密閉型のみの検証となりますので、参考までに。
そこで今回用意した比較表がこちらです。
5項目の中心を 0 としたチャート内に ★ を付けます。★の数が多いほど該当する項目の数値が大きい(または小さい)という意味です。比較には「基準」が必要ですが、ヘッドフォンには様々なタイプがありますので、今回は比較する全てのヘッドフォンが収まる範囲での枠を設けました。それぞれの特徴を捉えていただければと思います。
まずはこちら!誰もが音楽をやっていれば一度は目にするであろう、業界標準と言っても過言ではない銘器である、SONYのMDR-CD900ST。スタジオユースの業務用として販売するに至り、数多くのレコーディングスタジオで愛用されています。モニターヘッドフォンとして非常に人気のモデル。
やはりこのヘッドフォンには何とも言えない安心感がありますね!数多のアーティスト、エンジニアがこのヘッドフォンで音楽を作ってきたと考えるだけでこのヘッドフォンには価値があります。
音は中域が時に聞き取りやすく、ヴォーカル、ギター等は特にハッキリと前に出ていくる感じで、ドラムを叩いている時もしっかりとモニターできます。音を確認することにフォーカスを当てられているヘッドフォンだな、という印象です。
「曲に合わせた練習」、「クリック練習 (メトロノーム)」、「バッキングトラックに合わせた演奏」などドラムセットでのヘッドフォンの使用は色々な場面が考えられますが、どんな場面にも柔軟に対応できる万能なヘッドフォンです。こちらはドライバーが近いおかげか、片耳でのモニターでもドラムの生音に負けることもありません。装着感はとても軽く、側圧も程よく自然です。
こちらもソニーのCD900STと人気を二分しているもう一つの定番機種、世界が認めた“M50”の後継機。こちらも現場での使用は勿論、音楽制作も想定された高解像度モニターヘッドホン。90度の反転モニター機構で片耳モニタリングが快適に使える機能もあり、さまざまな場面も想定された、オールラウンドヘッドフォンです。
堅牢な作りと、がっちりと両耳を固定できそうなフォルムは、見るだけで良さが伝わってきます。
他社のモニターヘッドフォンと比較すると、ドンシャリと言われていますが、実際にはこちらの方がより原音に忠実に鳴っているのかもしれません。特に低音の動きはとても分かりやすく、同じリズム楽器であるベースがしっかりとモニターできるのでテンポのズレに強いヘッドフォンだと言えるでしょう。音源の全ての帯域に渡ってとてもクッキリと聞こえる高解像度なヘッドフォンです。
ヘッドバンドもガッチリしていて、遮音性が高く側圧は強めなので、音楽を流しながらの練習で両耳を覆ってしまうと若干生音が聞こえずらいと感じる人もいるかもしれません。(ハードヒッターにはちょうどいい?)例えば片耳だけしてみて、生音も一緒にモニターすると良いバランスになるかもしれません。多少の激しいプレイでもずれる心配がないのも嬉しいです。
着脱可能なコードが2種類付属します
ATH-M50xのコストパフォーマンスモデル。価格は抑えられていますが、モニターヘッドフォンとしての機能はしっかりと健在。全帯域で色付けのない原音に忠実な再生音は相変わらずです。
φ40mmCCAWボイスコイルドライバー搭載ですが、M50xに比べドライバーサイズが小さくなったにも関わらず低音がガツンと飛んできます!高音域はオーテクにしては若干おとなしめ。側圧は強いのですが、生音はM50xに比べると両耳を覆っていても、そこまでモコモコせずに聞こえます。(これはバスドラやフロアタムなど低音が響く楽器があるドラムセットでは案外重要な点です)ヘッドバンドが若干細身で、ガッチリ感は多少緩和されています。こちらも生ドラムで使用する際は片耳で使用するのもオススメです!
着脱可能なコードが2種類付属します
最後はローランドのRH-300。ミキシング用としての需要が高く自然でフラットな音には定評があり、この激戦区の価格帯においても、密かに売れ続けている定番ヘッドフォン。デジタル機器に最適化された密閉タイプの高音質モニターヘッドフォンという事ですが、ドラムセットではどうでしょうか。
これまでのモニターとは一線を画し、全ての帯域がバランスよくキレイににまとまっています(audio-technica の M50x に近いですが、ドンシャリ感はあまりなくボーカルがこちらの方がよく聴こえます。)。SONY CD900ST と audio-technic M50x の丁度良い部分をうまいこと狙った音にも聴こえます。側圧も自然な感じで圧迫感もなく長時間の装着にもストレスを感じません。解像度も十分に高く高音質です!密閉型にしては外音もかなり聞こえる方だと思いますので、両耳での使用でも全く問題なく使用できる良いヘッドフォンですね!
音楽鑑賞、という点で見れば少し淡泊で面白みのない音かもしれませんが、原音に忠実な音、というものを堪能できる数少ない1台ではないでしょうか。
いかがでしたでしょうか?ヘッドフォンというものは、耳と隣り合わせのパーツなので、慎重に選びたいところですよね。アコースティックドラムに関して言えば、生音が非常に大音量である為、ある程度それに負けない音量と装着時のフィット感などを重視したいところです。しかし、肝心な音楽が自分の好きな音で鳴ってくれないと練習時のモチベーションが上がらない・・・なんてことにもなりかねません。うーん、難しい!泣
ただ、人それぞれ耳や頭の形が違い、音の聴こえ方も一緒とは限りません。最終的には自分が装着した時のフィット感、いつもの音楽をそのヘッドフォンで鳴らした時の印象で決めるのがいいのではないでしょうか。
そして私はヘッドフォン、イヤフォンに関しては常に新しい音を求めるあまり、永遠に買い続けるという悪循環に陥っています。自分に合ったヘッドフォン探しの道のりは険しいですが最高に楽しいです。
この記事が皆さんの参考になればと思います。それでは!
この記事を書いた人
熊本パルコ店 ドラム担当 坂田
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