春のキャベツを、チーズと味噌が引き立てます
ふっくら煮えたやわらかい春キャベツ、ふくよかな味噌の香り、そしてパンチのあるパルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザンチーズ)のコク。
キャベツ、味噌、チーズのうまみが三位一体となった、ハイパー進化形の味噌汁を作りましょう。
作り方はシンプル。だしは使いません。野菜もキャベツだけ。ほんとうに大丈夫なの?と心配になりますが、大丈夫なんです。
発酵食品における東西の両横綱、味噌とチーズが強力にバックアップしてくれます。
でも、おいしさの秘密はそれだけではありません。この味噌汁は……レシピでくわしく説明しますね。旬の春キャベツのおいしさを、最大限に引き出すことができますよ。
キャベツとパルミジャーノ・レッジャーノの味噌汁
材料(2人分) 所要時間15分
春キャベツ 1/2個
パルミジャーノ・レッジャーノ 約20g ※パルメザンチーズも可
味噌(好みのもの) 約大さじ2
水 400mL
1. キャベツを切る
キャベツは芯をとって葉をはがし、数枚ずつ重ねて約7mmの幅の細切り★1にする。
2. 鍋で蒸し煮する
蓋つきの厚手の鍋にキャベツと水1カップを入れ、蓋をして中火で約8~10分、しんなりするまで蒸し煮★2する。
途中1~2度、ふたをあけて菜箸で底から上下を返す。焦げ付きそうな場合は水を少し足す。キャベツが煮えたら、水を300mL足してあたためる。
3. 仕上げる
火を止めて、味噌を溶き入れる。
器に盛って、仕上げにすりおろしたパルミジャーノ・レッジャーノ★3をたっぷりふりかける。
レシピのポイント解説
・キャベツの切り方
・キャベツの煮方
・チーズについて
★ポイント1. キャベツの切り方
今回はチーズを絡みやすくするため、キャベツを細めに切ります。
春キャベツは冬のキャベツに比べると葉がゆる巻きで軽く、ふわりとしているので扱いやすいんです。
半割のキャベツ。まず、芯をとります。
芯を切りとると、葉がはがれやすくなる
葉をはがして、洗い、水気をふきとります。
内側の葉は大きさが違うので、別に分けた方が切りやすい
近い大きさの葉を数枚、重ねます。大きな葉のまま刻むのではなく、まず15cm前後ぐらいの大きさにカットしましょう。
芯に沿って縦半分にカット
さらに半分にカット。葉が大きいときは1/3にしてもよい
1/4にしたものを2つ重ねる。こうすると刻みやすい
できあがり。キャベツ千切りを作るときも同じやり方でOK
キャベツの幅は7mmほど、千切りほどは細くせず、食べ応えも残します。
★ポイント2. キャベツの煮方
キャベツをごく少量の水で蒸し煮するのが、この味噌汁のコペルニクス的ポイントです。
普通、味噌汁は水やだしの中で泳がせるように野菜を煮ます。でも、キャベツはいきなり水の中で煮ると、特有のにおいが残りがちなのです。
焦げ付かないようにするため、カップ1弱の水を加え、ふたをしっかりして蒸し煮する
まず少量の水で蒸し煮してから、あとで味噌汁としての水分を加えてあげたほうが、うまみもあり、しかもすっきり仕上がります。だしを使う場合も同じです。
蓋をして、中火で約8~10分、しんなりするまで煮ます。
途中1~2度、ふたをあけて菜箸で底から上下を返します。焦げ付きそうな場合は水を少し足しましょう。
★ポイント3. パルミジャーノ・レッジャーノについて
今回使うパルミジャーノ・レッジャーノは、「チーズの王様」とも呼ばれる、長期熟成されたイタリアのハードチーズです。
パルメザンチーズでは、ダメ?
ダメではありません。ただ、私たちが思い浮かべる「パルメザンチーズ」はパルミジャーノ・レッジャーノというより、「パルミジャーノ風粉チーズ」と考えてもらうのがいいと思います。
「パルメザン」は、「パルミジャーノ」の英語読み。同じもののはず…
ヨーロッパ、EUでは「原産地名称保護制度」によって製品の呼び名が厳しく守られています。産地・製法・熟成期間など、細かい基準をクリアしないと、パルミジャーノ・レッジャーノ(パルメザン)と名乗ることはできません。
アメリカや日本にはこの法律の適用がないためパルメザンチーズと呼ばれていますが、実は、産地や熟成期間などの点でクリアできていないものが多いのです。 パルミジャーノ・レッジャーノは最低でも18ヶ月以上、中には2年、3年と長期熟成させるものも多く、味の深みが違います。手間がかかっているから値段も高めですが、それだけのことはあるチーズです。
もちろん、この味噌汁はパルメザンチーズでも十分おいしく作れます。あっさりしたくせのないチーズが好みなら、むしろこちらのほうがよいともいえます。問題なく使ってください。
でも、違いを知ってもらえたらいいなと思います。そして、この機会にパルミジャーノのおいしさを体験してみてはいかがでしょうか。
最近は大手のスーパーには置いてあります。3~40gの小さなサイズで切り売りされていることも多く、この味噌汁で使うぐらいならそれで十分。
40gで400円弱と、やや割高
和洋の美味しさが出会う味噌汁は、パンにもぴったり。
味噌もチーズもそれぞれ個性的な食材ですが、くせのない春キャベツが間を取り持ち、実はとても食べやすい味噌汁です。この味噌汁ならパスタに添えても、朝食のトーストと合わせてもぴったり。まさにミソ・スープですね。
味噌汁も洋風のスープも、基本の構造は同じ、塩が味噌に変わるだけ。そう考えると味噌汁の具材にも無限の広がりがあるはずです。
春キャベツをとことん食べつくす!
①蒸し煮する、②水を足して煮る、③そして味をつける。キャベツスープはこのステップで美味しくなります。スープにすると、葉物がたっぷり食べられるのもうれしいですね。
キャベツとパルミジャーノ・レッジャーノの白味噌汁
作り方はまったく同じ。味噌を白味噌に変えただけ。味噌が穏やかな分、チーズがより引き立つ味噌汁になります。
白味噌がおだやかな味なのでチーズも控えめで
桜えびとキャベツのスープ
これも春の旬、桜えびを使ったキャベツのスープ。やはりキャベツを蒸し煮して、味噌を塩に、そしてチーズを桜海老にかえます。桜えびはキャベツを蒸す後半で投入するとスープにしっかりだしが出ますよ。
水を加える前のキャベツの蒸し煮は、野菜料理としても完結しています。ポン酢やマヨネーズをかけたり、バターを落として醤油をかけるだけで美味しい一品に。
キャベツはいろいろな素材と相性のよい、懐の深い野菜です。ぜひ、楽しいアイデアで美味しい味噌汁やスープを作ってみてください!
スープのレシピや研究成果を発表している有賀さんのnoteはこちら!