【センバツ】福岡大大濠・三浦、196球完投!秋から全15戦投げ抜く「鉄腕」
◆第89回センバツ高校野球大会第7日 ▽2回戦 福岡大大濠1―1滋賀学園=延長15回引き分け=(26日・甲子園)
死闘、さらに死闘―。春夏通じて初の1日2試合連続となる延長15回引き分け再試合の激闘が繰り広げられた。高崎健康福祉大高崎(群馬)は、福井工大福井戦で1点ビハインドの9回2死二、三塁からトリックプレーの重盗で追いつき、引き分けに持ち込んだ。福岡大大濠のプロ注目右腕・三浦銀二(3年)は、滋賀学園との延長15回を10安打1失点完投。昨秋の福岡県大会から公式戦全15試合で1951球を投げ抜いた。再試合はともに28日に行われる。
耐え抜いた。ピンチでも落ち着いていた。同点の延長15回2死三塁。福岡大大濠・三浦が最後の打者を投飛に打ち取ると、球場中から拍手が湧き上がった。「ああ、1試合終わったんだと。競るゲームだと思っていたけど、予想以上にキツかった。8、9回ぐらいに早く終わってほしいと思った」。試合後は安堵(あんど)の表情。その顔つきは、PL学園時代に甲子園通算20勝3敗の成績を残した桑田真澄さん=スポーツ報知評論家=にそっくりだった。
鉄腕ぶりも、うり二つだ。昨秋の福岡大会から、公式戦は全試合で完投。22日の1回戦で右肘付近に死球を受けたが、この日は中3日で196球を投げ、計15試合1951球を一人で投げ抜く。昨秋の明治神宮大会準決勝・早実戦で敗れた悔しさから、冬にスクワットや下半身の鍛錬で、更にスタミナを強化。これが大一番で生きた。八木啓伸監督(39)は「この展開で代えることは考えていなかった。タフさが彼の特長。三浦に白星をつけようと思っていた」と明かした。
桑田さんの代名詞、「心の野球」を体現した。チームは年末、久留米の梅林寺で2泊3日の座禅合宿に臨んだ。毎朝4時に起床し、朝食は重湯と漬物。食事と掃除の時間以外は座禅を組む。右腕も「座禅を組んできたのも良かったのかも。ずっと落ち着いて冷静でした」と効果を実感した。
再試合は28日に決まった。「先発で投げるつもり。勝つ時も負ける時も、マウンドに立っていたい」と三浦。学校での休み時間には、桑田さんの著書を愛読する鉄腕。心の野球を貫き通し、桑田さんも成しえなかったセンバツの頂点へと上りつめる。(青柳 明)
◆三浦 銀二(みうら・ぎんじ)1999年12月30 日、福岡市生まれ。17歳。小3時に「筑紫丘ファイターズ」で投手として野球を始め、筑紫丘中では軟式野球部に所属。福岡大大濠では1年秋からベンチ入り。昨秋九州大会では3戦連続完封勝利するなど、26年ぶり出場の原動力に。175センチ、75キロ。右投右打。