日本で徳川幕府打倒のきっかけとなった薩摩と長州による薩長同盟(1886年)は、勢力が弱い2つの陣営が連合し、強者を倒した代表的な事例として挙げられる。薩長同盟は不可能と思われた両勢力の連帯を実現した交渉の結果だ。両陣営の対立は韓国で言うと、嶺南(慶尚道)と湖南(全羅道)の不和を上回る水準だったという。幕府も両藩の連帯は「あり得ない」として、状況を楽観していた。
しかし、両藩は積年のわだかまりを洗い流し、力を合わせた。不可能とされた合意を引き出した人物が日本の近代を切り開いた英雄として慕われる坂本龍馬だ。彼が双方を行き交い語った「まずはもう一度会ってほしい。そして、半歩だけ譲歩してほしい。後は自分が引き受ける」という言葉が印象的だ。
韓国大統領選を50日後に控えた時点で多くの選挙専門家は野党・共に民主党有利だと指摘する。民主党の党内選考のプロセスは残っているものの、世論調査などの指標は、大統領選の勝者が民主党の文在寅(ムン・ジェイン)氏になることを示している。文氏有力論は民主党の候補に正式に決まればさらに固まりそうだ。
大統領選は果たしてこのまま終わるのか。中道・保守陣営は唯一逆転できるシナリオとして、民主党以外の候補・政党の連帯を描いている。自由韓国党の洪準杓(ホン・ジュンピョ)氏、国民の党の安哲秀(アン・チョルス)氏、正しい政党のユ・スンミン氏が有力となっている3党候補が劇的に手を結び、文氏との一騎打ちの構図を形づくれば、土壇場での逆転もあり得るとの考えだ。各党有力者が水面下で調整に入ったとのうわさもある。