日本人とカナダ人、視覚認知に差異 京大解明、文化差影響か
日本人とカナダ人では、瞬間的に物を見る時の着眼点が異なることが、京都大の上田祥行こころの未来研究センター助教や齋木潤人間・環境学研究科教授らのグループの研究で分かった。文化の違いが視覚認知に差をもたらしているのではないかという。米科学誌で25日発表した。
これまでの研究で、思考や推論は文化差で違いが生じることが示唆されている。一方、思考のような複雑な脳の処理とは異なる単純な視覚認知において、文化差が影響するのかどうかはよく分かっていなかった。
グループは、日本で生まれ育った18歳以上の日本人と、カナダで生まれ育った18歳以上のカナダ人に対し、▽多くの短い線分から1本の長い線分を探し出す課題と、その逆の課題▽多くの垂直な線分から傾いた1本の線分を探し出す課題と、その逆の課題―を課し、答えるのにかかった時間を計測した。
その結果、長さを扱った2種類の課題では、日本人は答えるまでの時間の差が小さかったのに対し、カナダ人は大きかった。一方、傾きを扱った2種類の課題では長さの課題とは逆の結果が出た。日本人であってもカナダで数年暮らせばカナダ人のような傾向になることも別の研究で分かっており、視覚認知には文化差が影響している可能性が高いという。
上田助教は「視覚認知に文化差をもたらしている一つの候補は文字だが、まだ明らかではない。どのような環境にどれほど接することで変化が生じるのか調べていきたい」と話している。
【 2017年03月26日 21時00分 】