Appleとフォトライセンス契約を結びました。改めてフォトグラファーの仕事について考察してみる

どうもこんばんは、Tuck @_tuck4 です。

Appleとフォトライセンス契約を結びました。新しいiPadのPRに写真が使われています。

Appleのフォトエディターからライセンス希望の連絡をいただき、とくに時間もかかることなく、金額もこちらの言い値でとんとん拍子で契約となりました。おろらく第一報の時点ですでに決定していたのかなと思います。

一枚の写真にこれだけの金額を払ってくれること、その価値を感じてもらえたこと、それがAppleだったこと。フォトグラファーとしてこれほどの喜びはありません。ちょっとまだ信じられない気持ちでいます。

Twitterでの報告もたくさんの反応をいただき、改めてAppleという会社の偉大さに気づかされます。そんなわけで、今回のことでわたくしのことを知った方もいるかと思います。フォトグラファーって実際どうなの?という方もいるかもしれません。

結論から言いますと、フォトグラファーはチャレンジする価値のある、最高に楽しい仕事です。

この記事では、主にフォトグラファーを志している方に向けて、じぶんがフォトグラファーの仕事について考えていることを書きます。現時点での総括ともいえます。フォトグラファーに限らず、クリエイターとして世に何かを送り出している方にも何かのヒントになるかもしれません。

※ちなみに念のためですが、Appleの写真の場所はオフィスなどの入るマンションです。撮影、写真使用には管理会社の「the SOHO studios.」さんの撮影許可が必要です。

旅が仕事になる

フォトグラファーは旅が仕事になります。これが一番楽しい。現在までに4回ほど海外にいきました。それほど多いわけではないですが、それぞれ濃い経験でした。

豪華客船で上海へ

ロイヤル・カリビアン・インターナショナルの「マリナーズ・オブ・ザ・シーズ」というビルみたいな客船で上海へのクルーズ旅行。船内での写真イベント開催という案件でしたが、船内での旅のほとんどが自由時間。24時間あいてるカフェやビュッフェなど、思えばこの旅が体重が増え続けるキッカケになりました笑。

基本的にずっと船の上で、目的地の上海で過ごす時間も少なかったのですが、なにより貴重な経験になりました。まぁ普通乗らないですよねクルーズ船なんて。

憧れのニューヨークへ

Instagramを始めた頃から憧れのニューヨーク。プロになって2年目の2016年9月、ANA(全日空)の「羽田≫ニューヨーク便就航」のプロモーションで単身撮影に乗り込みました。じぶんのスタイルで好きなように写真を撮りまくる仕事です。

ニューヨークではちょっとしたエピソードがあります。さかのぼること2015年1月に日本で出会った Tyson Wheatley というフォトグラファー。Tysonはキャセイパシフィック航空の案件で日本に来るということでコンタクトがあり、大阪で一緒に写真を撮ったんですね。

Tysonはキャセイパシフィック航空の他にホテルや、ヘッドホンの会社の案件をブッキングして来日していたのでした。当時独立したてで何の仕事もなかったじぶんにとって、途方もなく遠く、キラキラした存在に思えたものです。

「いつかTysonのようになる!」と決めて頑張った結果、1年と9ヶ月たって再会します。場所はブルックリンの彼のアパート。キャセイパシフィック航空の案件で日本に来ていた彼に、今度は「ANAの案件でニューヨークに来たよ」と報告できたのでした。

Airbnb最大のイベントでロサンゼルスへ

ニューヨークから帰国してすぐにまたアメリカ行きのオファーが届きます。Airbnbがロサンゼルスで行う世界最大のイベント「Airbnb Open」への招待です。デルタ航空とも提携しているので、ビジネスクラスでロサンゼルスへ向かいました。完全にフラットになるという凄まじく快適なシートでした。

宿泊の他に「体験」も提供することが出来る新サービスをプレゼンする、AirbnbCEOのブライアン・チェスキー。オーディエンスの熱気も凄まじく、完全にショーでした。

基本的にイベントでも自由行動で好きに写真を撮りまわりました。イベント期間中連日行われるディナーイベントなどももちろんフリー。

最終日にはMaroon5のライブもあり、最前列VIPエリアでの鑑賞です。

宿泊はもちろんAirbnbで、ノースハリウッドの豪邸。

イベント以外の時間もロサンゼルスを堪能しました。

まさかの北欧、フィンランド・ヘルシンキへ

こちらは最近ですが、フィンランド観光局のオファーでヘルシンキに行ってきました。雪、晴れ、霧、と盛りだくさんな光景を見せてくれましたよ笑。

海を隔てて南のエストニア・タリンという街にも寄ったりと充実の旅でした。夏にももう一度行ってみたい。

実は機材は関係ない

わかりやすいので海外の話を多くしましたが、もちろん国内の仕事があってこそです。フォトグラファーというとスタジオに入ったり、大きな機材を持って車移動というイメージですが、じぶんはFUJIFILMのミラーレスカメラで、いつもバックパックひとつです。スタジオやライティングの知識、経験も皆無です。

一番最近の案件などは、なんと「写ルンです」を使った撮影でした。詳しくはRECOで発信しています。
ちょっとピンぼけ ー「写ルンです」と春を探しに河津町へ

フォトグラファーに必要な「サブタイトル」とは

ではなぜこういった仕事が成り立つかというと、重要なキーワードが「サブタイトル」になります。

世の中の経済活動の常として、「仕事の企画をする人」と「企画のお金を出す人」はイコールでないことがほとんどです。「仕事の企画をする人」は企画に必要なフォトグラファーで、誰を使うかを「企画のお金を出す人」に説明する必要があります。

一部の巨匠は名前だけで企画になりますが、じぶん含めてまだ無名のフォトグラファーの場合は「サブタイトル」が必要になります。この雑誌で撮影しているとか、こんな芸能人を撮っている、こんな賞を取っている、こんな写真集を出していてこれだけ売れている・・・などなど。

じぶんの場合は「Instagramをキッカケにプロになった」というサブタイトルがつきます。その中でも切磋琢磨した結果、上記のような仕事につながるようになったわけです。

今回のAppleの件で、「Appleとライセンス契約をしたフォトグラファー」というサブタイトルがつきました。少なくとも年内は、いやもしかしたら数年にわたって使われるサブタイトルかもしれません。

「写真家として、良い写真を撮る」というのはもちろん大前提です。ですがそれを収入につなげるには「自らにどんなサブタイトルをつけるか」という発想も必要になります。これはフォトグラファーに限らず、全クリエイターに言えることです。

良い写真を撮っている(良い作品を作っている)のに世に出られないのは、このサブタイトル獲得の非効率が最大の原因です。難易度の高い写真賞に長年チャレンジし続けるなどは、典型的な非効率の例です。

もしじぶんが弟子、というかアシスタントを持つことになったら(その予定はありませんが)、まず最初のミッションは自身のサブタイトルを考えることです。じぶんのキャリアにとって効果的なサブタイトルを考え、そのサブタイトルを獲得する最短の道と、具体的な行動を考える。「食べていくクリエイター」の試行錯誤は作品だけではないということなんですね。

なぜInstagramなのか?

仕事を得るために非常に重要なサブタイトルに、なぜInstagramなのか。こういってはなんですが、これに関しては運が良かったとしかいいようがありません。2015年独立した時点でも想像できなかったくらい、Instagramそのものが世の中に認知され、成長しました。

Instagramがなぜ伸びているかというと、ひとえに純粋想起を獲得したからだと思います。純粋想起とは「○○といえば何々」のように、何のヒントや手がかりもなくブランド名などを思い浮かべることを言います。

この最強の例がGoogleで、ウェブ検索といえば「Google検索」、地図なら「Google Maps」、メールサービスなら「Gmail」、動画なら「YouTube」と、ほとんどの分野でGoogleは純粋想起を獲得したことで知られます。だから圧倒的に人が集まるんですね。

Instagramもすでに「写真共有ならInstagram」という純粋想起を獲得したように見えます。日本での伸びが世界的に見て一歩遅れたのは、当初は「レトロなフィルターをかけられる」というキャッチフレーズが出回っていて、「写真共有」という純粋想起にいたるまで少しブランクがあったのです。

「てかInstagramって、アプリ(ツール)じゃなくてプラットフォームだよね」と気づいた人が、デジタル一眼やフィルムカメラの写真を共有したり、VSCOを使ったりと、いち早くInstagramのフィルターを使うのをやめていきました。じぶんも早い段階でここに気づいた一人です。

この純粋想起を獲得したとなると、もうInstagramがどうこうというより、「写真を共有したい」という人間の欲求がある限り、Instagramのユーザー数は伸びこそすれ落ち込むことはないということになります。

SNSのギャラリーが資産になる

今回はAppleとのライセンス契約でしたが、実はこういった「写真を使用させてください」というコンタクトは多くて、金額の大小はありますが、Webサイトまるごとで数十枚使っていただくケースなどもあり、大きな収入源になっています。

すでにある写真なので、変な話、Lightroomで書き出してDropboxにアップして相手に共有するだけの作業。それで収入が入ってくるので、権利収入に近い形になるでしょうか。InstagramTumblr500pxのギャラリーが資産になるわけです。

「プロがSNSに本気写真をアップするなんて」という価値観はいまだにあります。ですが、「SNSに本気写真を公開し続けた結果、それが資産になる」とはじぶんでも想像できませんでした。

Instagramを始めてそろそろ5年になります。やめていく人もいましたし、じぶんにもやめるタイミングはありました。今となっては「やってて良かった」という言葉しか出ません。

ブログを書く

SNSでフォロワーが増えると、陥りがちなのが「これだけの人たちがじぶんに関心を持ってくれている」という勘違いです。

じぶんもInstagramは13万人のフォロワーがいますし、その他もろもろを合わせると3〜40万人にリーチする計算になるでしょうか。でもその中でほんとうにじぶんの活動に関心を持ってくれている人、そんな人は数百人、いや数十人といったところでしょう。

より多くの人にじぶんの活動をアピールするために、最大の効果が得られるのがブログです。じぶんも独立して一年目の試行錯誤の期間にブログ記事がバズったことが突破口になりました。

SNSで調子に乗って独立したフォトグラファーの1年目の現状

この記事を注意深く読んでみると、実はフォトグラファーの収入としてはDucatiの一件のみ。全体の空気感というか見せ方で、かなり絶好調で年収もガンガンいってるフォトグラファーに見えたりしますが、収入だけ見ると底辺フォトグラファーです笑。

今こうやって、せっせとブログを書いているのも、きっちりじぶんの活動を認知してもらうためです。その結果、参考にしてくれたり、転機にしてくれたり、勇気を出す人が出てくれたら最高じゃないですか。

最後に

いかがでしたでしょうか。「好きなことを仕事にする」ということは簡単ではありません。ですがあえてじぶんは「思ったよりも難しくない」と言いたいです。

ただ好きなことを何にも考えずにやるのではなく、「じぶんの好きなこと」と、「世の中に必要とされること」の交差する地点を探すことがポイントかなと思うんですよね。もちろん、いまだにじぶんも考えます。みんなも考えましょう。


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