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すっかり定点観測になっていますが、その後何か動きはないか、新年早々に訪問しました。
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多摩テック跡地の現在(2014年11月)
多摩テック跡地の現在(2013年6月)
前回訪問時にはなかった看板が正面入り口にあります。インターソル(株)という会社が敷地を管理しているようです。平成21年創業の新しい会社ですね。事業項目に「難航案件の売却・賃貸」とあるので、明治大学以外の売却・賃貸先を探していると思われます。
関東地方の警備会社では業界大手の帝国警備が24時間警戒中。
重機のヤードは短期一時貸し出し可の管理地となっています。作業が再開した時に使えないと困るので、短期なんでしょう。
この道をまっすぐ登り、下ると中央大学のグランドがあります。人気は少なく寂しい場所です。
土地利用構想広告板には開発事業者として明治大学と三菱商事、代理人は浅井建築研究所とあります。大学校舎、合宿所、体育館、屋内プールほか23棟を建設、事業完了予定は2014年2月28日でしたが、明治大学が中止を宣言、代理購入した三菱商事が60億9千万円の支払いを求めて訴訟を起こす事態となっています。現在も係争中です。
10台以上の工事用車両が留置されていますが、支払いはどうなっているんでしょうね。バッテリーも上がりそうです。
工事再開のメドは立っていません。
平屋の建物が管理者のインターソル(株)多摩事務所です。
少し上から俯瞰しました。ゲート入り口の車まわしの屋根が残っています。軽ワゴンは巡回用ですかね。
この廃墟となっている建物は変電施設だと思います。
1月とは思えない暖かな陽射しを受けながら、丘を登っていきます。
周遊道は車両侵入禁止ですが、自転車と徒歩の通行はOKです。
冬なので下草が枯れて歩きやすいです。見えているのは地元の(有)丸和建設のヤード。現在も東福生市にあります。
MTBで登ってきた人がいました。かなり斜度があるので、健脚ですね。
ランナーもいます。コース的にはクロスカントリーです。両手に杖をついて登っているご年配の方もいました。
裏山は荒涼とした光景が広がっています。
カメラを差し込んでみました。当然ですが荒れるがままのようです。
ガリオンのレールは分断されていますが、塗装はまだキレイなままです。
裏山には遺構があります。遊具?が置いてあったのかもしれません。
この裏山は都立公園の一部となっており、散策できるように遊歩道が整備されています。
ここはクアガーデンの入り口となるゲートでした。
ここから先は急峻な崖となっており、回り込むことができません。
東京地裁の判決が出るまであと数年はかかるでしょう。仮に最高裁まで行けば10年単位で放置が続くと予想されます。どうしてこうなった・・・震災の余波で建設費が高騰したのが原因とされていますが、もっと複合的な要因があるんでしょうね。
さて、ここで昔話を。「TECH」という名称は、「TECHNIC」に由来する造語で、すべてのモーターサイクリストが一般道路では味わえないバイクの魅力を堪能できる施設という意味が込められています。開業当初は1周600メートルのオーバルコース、全長1.5kmのスクランブルコース、ガレ場や砂地を踏破するトライアルコースなどがありました。
オープン当初は会員制で、会費は6カ月1800円。会員一人につき三人までビジターを同伴できました(1回300円)。顔写真入りの会員証を提示すれば、生駒、日ノ隅、多摩、朝霞の全施設を利用可能。また、技能検定である「バッチテスト」に合格すると、鈴鹿サーキットでの走行もできるようになっていました。
敷地は約3.3万坪、標高差は36メートル、5000人が収容できる観客席もありました。駐車場は二輪1000台、四輪50台(時代を感じます)。当時の新聞からオープン当初の様子を紹介します。
読売新聞 昭和36年9月30日
スピードとスリルの天国
●あばれるカミナリ族一堂に
スピードとスリルを思うぞんぶに―というオートバイのカミナリ天国、日野テック(遊技場)が十月一日から東京都多摩郡日野に開場するが、開場に先立って二十九日報道関係者に公開された。設立者のオートバイ・メーカーの真意はむろん販路の拡張なのだが、表向きは”道路であばれまわるカミナリたちを一カ所に集めてしまえば事故も少なくなる”ときわめて結構なキャッチ・フレーズ。
●コースに変化、記録も証明
この遊技場は十三万平方メートルの土地を切り開いた丘あり谷間ありのオートバイマニアにはもってこいの場所。スクランブル(デコボコ道、砂地を速く走る競技)トライアル(スクランブルの兄貴分で、水たまりやかわらのような石ころだらけの道を走りまわる)ヒルクライミング(丘登り、急な斜面を一気にのぼる)モーターサッカー(オートバイでサッカーをやる)のほかジャンプ、だ(蛇)行、回転など”かけ出し”のオートバイファンではちょっとたじろぐようなコースがふんだんにあり、スピード記録を証明してくれるというのがミソ。
●横目でくやしがる警視庁
警視庁交通部は、ことしはじめにこの計画をきいたときから「とんでもないこと」とにぎりつぶす算段を考えたが道路ではないので法令の対象とならず、ケチのつけようがなくてじだんだふんだ。この種のテックは全国六十ニカ所につくられる計画があり「商売人というものはなんとうまいことを考えるヤツだ」とくやしがっている。
だが、このまま放任しておくわけにもゆかず、同部は地元の日野署を通じ「危険と思われるコースの再検討と管理上の責任をハッキリしてほしい」と要望する一方、開場したら沿道を白バイでがっちりかためテックからはみ出すスピード違反や無免許運転のカミナリたちは徹底的に取り締まると宣言している。
当時、爆音(直管)マフラーをつけていたライダーは「カミナリ族」と呼ばれていました。「みゆき族」「アパッチ族」「たけのこ族」など、特定の趣味を持つ若者を「〜族」とカテゴライズ(レッテル貼り)することに抵抗のない時代です。本田さんも「カミナリ族の大親分」と呼ばれていました。2chでは「珍走団」という呼称も定着していますね。
平成の現在はこんな感じに進化?してるわけですが・・・CBXの中古が暴騰しているのは、青春時代を忘れられないオジさん・オバさんの需要があるからです。常磐道とかでミーティングしてるのを見かけますが、もう数が少ないので変な改造はせず、ノーマルで乗ってほしいですね。というか歳を考えろと。
最後に、カミナリ族について書いた本田さんの文章を紹介します。
最近カミナリ批判が盛んだ。いきすぎを叩くのなら大賛成だが、オートバイに乗っている人を全部カミナリ族と決めつけるような極端なもののいい方は気にかかる。
そういうことを書いた人だって、昔はカミナリ族と同じようなことをやっていたに違いない。鼻緒の太い高下駄をはき、バンカラな帽子をかぶり、ストームとかいって夜中に街の中をワイワイガヤガヤ放歌高吟しながらねり歩いたに違いない。
その放歌高吟が爆音に、高下駄がオートバイに変わっただけである。自分らが大人になって偉い地位に座れば昔のことを忘れ、若くして進歩しつつあるものの気持ちも理解できず、カミナリ族だマッハ族だと決めつける。
私が小僧のときには、彼らの放歌高吟にはずいぶん悩まされたものである。音で悩まされるのは同じことである。ただスピーディになっただけの違いである。
あの年ごろのものは社会一般というか、現在あるものから一歩抜け出ようという気持ちが強い。それがいきすぎるとカミナリ族のような形で表現される。ルールを守るように徹底したPRをしなかったわれわれ業者も大いに反省しなければならないが、なんでもかんでも押さえてしまえ、オートバイなんか取り上げろという抹殺論的な表現には反発を感じる。それでは解決できない。
カミナリ族を批判する場合は適切な方法でやってもらいたい。だれだって生まれたときから完全な人間になれるわけではない。そこで教育が必要になってくる。ただカミナリ族は生命にかかわるだけに甘やかすことは危険だが、厳しさの中にも若者の気持ちを理解し、よいほうへ導いていく温かさが欲しい。
山登りだって、オートバイ以上に危険である。一年に何百人と死んでいるし、地元の人にも迷惑をかけている。だからといって、危ないから山に登るなというだけでは能がないし、そんなことで若い人の登山熱をさますことはできない。無理にやめさせようとすると、若さのハケ口がなくなって悪いほうに流れてしまう。
登山にしてもオートバイにしても、現在より進歩しようという若い人たちのエネルギーの現れなのだから、それを彼らから取り上げるのではなく、正しい形で大いに若い力を謳歌するようにしてやるのが大人の義務であると思う。
放歌高吟のほうが危険が少ないからといって、いまさら昔のように高下駄スタイルを真似しろといっても、いまの若い人たちには受け入れられない。それだけ時代は進んでいる。そこにタイミングを合わせて、業者もジャーナリストも一つになってPRすれば、危険なカミナリ族なんてすぐになくすことができると思う。その点私は楽観的に見ている。
本田宗一郎「スピードに生きる」(実業之日本社)より |
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ふと多摩テックの跡地が気になり調べたらたどり着きました。
多摩テックは自分が小学生の頃に連れていってもらったのが一回きりです。今は高校生なのですが
また行きたいと言っていたらなくなってしまったのが本当に悲しいです。
このようなレジャー施設は他にあるのでしょうか?
2016/1/25(月) 午後 7:07 [ ロドリゲス ] 返信する
> ロドリゲスさん
コメントありがとうございます。
Hondaが運営している遊園地としては鈴鹿サーキットランド(モートピア)と遊園地ではありませんが、ツインリンクもてぎに遊具があります。
両施設には、多摩テックにあった遊具と同じものがいくつか残っています。
Hondaオリジナルの遊具は、いずれも「操る喜び」をコンセプトに、
しており、他の遊園地にはない、二輪・四輪・汎用メーカーならではの
もので、高校生でも十分楽しめると思います。
レース観戦と一緒に、ぜひ足を運んでみてください。
鈴鹿サーキット モートピア
http://www.suzukacircuit.jp/motopia_s/#2
ツインリンクもてぎ モビパーク
http://www.twinring.jp/mobipark_m/
よろしければこちらもご覧ください
藤澤さんの哲学を受け継ぐモビリティランド
http://blogs.yahoo.co.jp/hr_crf2/63966980.html
2016/1/25(月) 午後 8:57 [ HR_CRF2 ] 返信する
> nothingto223さん
修正しました。ご指摘ありがとうございます。
2016/1/30(土) 午後 4:47 [ HR_CRF2 ] 返信する
懐かしいですね。1972年頃に何回か行きました。この様な施設があると良いと思いますが、中々収益が悪いのかも知れませんが。
2017/1/6(金) 午前 0:37 [ vin***** ] 返信する
> vin*****さん
コメントありがとうございます。
昔は谷津遊園やドリームランドなど
各地に遊園地がありましたが、残念ながら潰れてしまいました。
レジャーの多様化と少子化、TDLとUSJへの集約が原因でしょう。
多摩テックはHondaの業績が苦しい時に閉鎖を決断してしまいましたが、
今なら存続していたかもしれません。
バブル崩壊も耐えたのに、もったいないですね。
2017/1/6(金) 午前 0:52 [ HR_CRF2 ] 返信する