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【首都圏】

沖縄ヘイト 二重の差別 「取材現場から」地元2紙記者、都内で講座

「沖縄ヘイト」などについて話す宮城栄作さん(左)と新垣毅さん=東京都千代田区で

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 最近の「沖縄ヘイト」の背景などを取材現場から分析し、考える日本ジャーナリスト会議(JCJ)の講座が、東京都千代田区の日比谷図書文化館であった。

 講師は、ともに東京支社報道部長を務める琉球新報の新垣毅さんと沖縄タイムスの宮城栄作さん。

 「沖縄には二重の差別がある」と新垣さんは歴史的背景を踏まえて話す。

 一つは、約70%の米軍専用施設がある物理的な押し付けで、負担軽減の名の下で進められる名護市辺野古での新しい基地建設は機能強化であり、「北朝鮮の標的にもされ、県民は沖縄戦のような恐怖を覚えている」。

 もう一つは、排外的な差別の台頭という。日米同盟強化の国益に反対の行動をする人たちとみなして、「キチガイ(基地外)」「反日」など卑劣なレッテル貼りをする風潮を「人種差別や排外主義の位置付けの中で沖縄が見られ始めている」と懸念する。

 さらに大阪府警の機動隊員の「土人」発言に触れ、沖縄戦で日本軍人が住民を「貴様ら、土人語で話してスパイ活動をしているのか」とさげすんだりし、各地で住民虐殺に追い込んだことを想起させるとした。

 続いて、沖縄ヘイトの背景について宮城さんは「怪しげな情報がネットの中にとどまらず、本来知識人とされる人やテレビにまで広がり深刻だ。政府の『ユクシ(うそ)力』が勝り、広がっている」と数々の事例を挙げて指摘。一つ一つ検証して報道することを在京メディアに求めた。

 さらに「人権侵害などで中立・客観の立場でいることはあしき報道慣習。辺野古を巡って安倍政権がどうする・どうなるかの視点ではなく、辺野古や県民がどうなるかが大切ではないか。報道の軸足をどこに置くかが問われている」と訴えた。 (野呂法夫)

 

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