【ソフトバンク】松坂、7回ノーヒットなのに2軍で調整!
◆オープン戦 ソフトバンク1―0広島(25日・ヤフオクドーム)
右肩手術からの復活を目指すソフトバンク・松坂が広島戦(ヤフオクD)に先発し、変化球主体で7回無安打無失点の快投を演じた。五十嵐、サファテのリレーで昨季のセ・リーグ王者をノーヒットに封じ、オープン戦ではオリックスが95年3月8日のダイエー戦で達成して以来、22年ぶりの無安打無得点。だが、若タカ軍団の先発陣は既に完備されており、松坂は試合後、まさかの2軍行きが決定。開幕ローテ入りを逃した。
ノーヒットのまま、マウンドを降りた。7回を投げ切った松坂は、充実の表情でファンの大声援を浴びた。オープン戦最後の登板は7回を無安打無失点、6奪三振と完璧な102球。「自分の中ではずっとこういう形でやりたいと思ってきて、最後の最後でそれが表に出た」。新たなスタイルで昨季のセ覇者を手玉に取った。
かつての150キロを超える剛速球は、もうない。この日の最速は142キロ止まり。ツーシーム、カットボールを駆使して、ボールを動かしながら打者の芯を外した。課題だった制球面も2四球にとどめた。これまでのイメージを覆す投球に、工藤監督は「彼の新しいピッチングスタイルができたと思います」と高く評価した。
しかし、あまりにも遅い快投アピールだった。試合後、“定員オーバー”により開幕ローテ落ち、2軍行きが決定した。工藤監督は「総合的に判断しました。いいピッチングはしたけど2軍で調整してもらいます」と説明。前回登板した18日の西武戦で、右内転筋の張りで緊急降板(3回2/3を4失点)したことなどが響き、6人の先発枠からは漏れた。今後は摂津と共にバックアップ要員として待機する。
非情通告を松坂は冷静に受け止めた。「もちろん残念ですけど、オープン戦が残り2試合の段階で、ローテが決まっていないわけがない。試合前から分かっていた。先につながるように投げました」と淡々と話したが、過去2年は未勝利で迎えた3年契約の最終年に向け、確かな収穫は得た。
オランダ代表のバンデンハーク、この日から合流した千賀、武田らWBC組の体調次第では、急きょ先発が巡ってくる可能性はある。「ボールを動かすときと動かさないときのメリハリを付けられれば。とりあえず今の形で投げたい」ときっかけはつかんだ。平成の怪物は、その時が来るまで、じっくりコンディションを整える。(酒谷 裕)
OP戦6度目
ソフトバンクは、松坂(7回)、五十嵐、サファテ(各1回)の継投で広島をノーヒットノーラン。2リーグ制(50年)後、オープン戦でのノーヒットノーラン試合は9度目。この日のソフトバンクのようにリレーでマークしたのは、6度目だ。
ソフトバンクは前身・南海時代の88年に西川佳明が記録して以来、29年ぶり2度目。広島は86年近鉄戦(3投手)、88年西武戦(郭泰源完投)に次ぎ、最多3度目の屈辱になった。
ちなみに、公式戦での継投によるノーヒットノーランは、41年6月22日イーグルス(対名古屋、2投手)、同8月2日阪急(対名古屋、2投手)、06年4月15日に日本ハム(対ソフトバンク、3投手)と3度記録されている。