【香港行政長官選】
中国支持の林鄭氏が当選なら「社会混乱が再び起きる」 “香港の良心”陳方氏が懸念
【香港=河崎真澄】香港の陳方安生(アンソン・チャン)元政務官は25日、産経新聞と単独会見し、中国共産党政権が支持する林鄭月娥(キャリー・ラム)前政務官(59)が26日投票の行政長官選で当選すれば「市民の信頼を得ない長官の下で社会混乱が再び起きる恐れがある」と指摘した。林鄭氏は学生らが選挙制度民主化を求めた2014年のデモ「雨傘運動」に強硬姿勢で臨んだ経緯がある。
01年まで政府ナンバー2の政務官職を8年にわたって務めた陳方氏は、中国からの政治干渉に粘り強く抵抗。「香港の良心」と呼ばれ、市民に人気が高い。
長官選には3人が立候補しているが、親中派が過半を占める定数1200の選挙委員会が選ぶため、「中央(共産党政権)の唯一支持する候補」とされる林鄭氏当選が確実な情勢だ。
一方、対抗馬である曽俊華(ジョン・ツァン)前財政官(65)は最新の民意調査で52.5%が支持。林鄭氏の25.1%を大きくリードし、民意とはかけ離れた結果になる可能性がある。
陳方氏は、「林鄭氏は責任感が強かったが、数年前から自らの主張のみで他の意見を排除する姿勢に変わった」と発言。12年に就任した梁振英長官の右腕として共産党寄りの行政スタイルに転じたとみている。