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【社会】「考える道徳」遠く 小学教科書、初検定文部科学省は二十四日、二〇一八年度から教科化される小学校の道徳授業で使われる教科書の初めての検定結果を公表した。新たな教科の教科書検定は、一九九〇年度の小学校生活科以来二十六年ぶり。併せて公表した高校教科書(二、三年生用)の検定結果では、領土問題のほか、安倍政権が二〇一五年九月に成立させた安全保障関連法に関しても、政府見解を詳しく説明するよう求める意見が付いた。 文科省によると、小学校の道徳教科書は、八社から二十四点(六十六冊)の申請があった。検定意見は全体で二百四十四件付き、各社が修正の上合格した。 検定意見の内容は、学習指導要領が定める「節度・節制」「規則の尊重」などの項目を学ばせるための内容が不十分、不適切との指摘や、項目が明示されていないことへの指摘が目立った。 すべての教科書会社が、文科省が作成した副教材「私たちの道徳」に掲載されている作品を一部使用。教科化のきっかけとなったいじめに関する題材はすべての教科書が扱った。また、東日本大震災について十九点(79・2%)が記述。「生命の尊さ」や「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」などを学ぶ教材として取り入れた。 高校教科書は本年度、七教科(専門教科を除く)百九十六点の申請があり、すべてが合格。集団的自衛権の行使を可能とした安全保障関連法について、政府が「限定的だ」と説明する根拠としている新三要件を詳しく書くよう求める意見が六件付いた。 ◇ 道徳の教科化は、一一年の大津市の男子中学生のいじめ自殺事件をきっかけに政府の教育再生実行会議が一三年二月に提言。その後急テンポで進められた。 教科化を巡っては、「価値観の押し付けになる」などと反対意見も根強かったが、文部科学省は約十年ごとの学習指導要領の改定を待たず、一五年三月に小中学校の指導要領を一部改め、道徳を「特別の教科」と位置付けた。 小学校は一八年度、中学校は一九年度から教科書を使って評価も行う正式な教科となる。評価は数値ではなく記述式とする。 文科省は登場人物の心情理解に重点を置いた従来型の「読み物道徳」から脱却し、「考え、議論する道徳」の実現を目指す。 だが、学習内容の項目を学習指導要領などで細かく定めた結果、教科書会社は基準に合わせることに注力。識者からは、教科書の内容が画一的で、考える道徳からは程遠いという声も聞こえる。 PR情報
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