【特別企画】漫画家・のむらしんぼ先生が『コロコロコミック』と自身の漫画家人生を語る! 『コロコロ創刊伝説』インタビュー

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■ “コロコロ魂”とは?

shinbo-04▲「子どもの人生は、七転び八起き」として子どもたちへの励ましの意味も込めて、『コロコロコミック』と命名された。いつの時代も、『コロコロ』は子どもたちに寄り添った雑誌なのだ。

――『創刊伝説』では『コロコロ』の漫画家さんたちの交流が描かれていますし、それぞれの漫画に対する熱い想いが紙面から伝わってきます。

しんぼ:漫画に対する熱い想いこそが“コロコロ魂”ですね。僕らは『コロコロ』で生まれて『コロコロ』で育ってきた。締め切りのときはタコ部屋というか合宿に近い感覚で、みんなで助け合ってね。だから編集部もたいへんですよ。ちゃんとそういう場所を作って、「とにかく逃がさないぞ」っていう(笑)。でも、他の雑誌で連載されている漫画家さんに聞くと、うらやましがるんですね。『おぼっちゃまくん』のよしりん(小林よしのり)先生は、「『少年ジャンプ』では漫画家同士の助け合いなんてなかったよ」「いやいや。よしりん先生の絵は当時お世辞にも上手いとは言えなかったから、単に呼ばれなかっただけじゃないですか」って、2人で大笑いしてね(笑)。

――よしりん先生の『おぼっちゃまくん』と『つるピカハゲ丸』は同時に掲載されていましたね。同じギャグ漫画として、よしりん先生にどんな印象をお持ちでしたか?

しんぼ:よしりん先生は『コロコロ』の漫画家とは、ちょっと枠が違うんですけどね。『少年ジャンプ』から『コロコロ』にやってきた方で、『おぼっちゃまくん』はすごいヒットしましたよね。当時、よしりん先生と福岡のサイン会に一緒に行ったとき、よしりん先生から「わしは小学校5年生あたりをターゲットにしている。しんぼちゃんは、それよりも下の子どもたちのために面白い漫画を描いてくれないと、わしの漫画も読んでくれなくなる」って言ってくれたんです。よしりん先生は雑誌全体のことを常に考えている、本当にプロの方だなって思いました。けれど、この前、ニコ生のよしりん先生のチャンネルに出させてもらったときに、そのことを話したら、「そんなのあったっけ?」って、忘れていてね(笑)。

――小学校以来、何十年ぶりに『コロコロ』を手に取ったのですが、どの漫画も絵やキャラクター、ストーリーの密度の高さに驚きました。児童漫画は漫画の原点でもあり、漫画の本来の面白さがちゃんとあると改めて思いました。

しんぼ:「子ども漫画なんか簡単に描けるんだ」と侮っていては、どうやったら子どもが喜ぶのか、掴めることすらできないですよ。僕ら自身が分かってないのが正直なところです。次から次へとヒットを出していたら、僕もしくじりませんよね(笑)。いまだに子どもがどういったことで喜ぶのか、本当によく分からないんです。だから、僕は面白いかどうかよりも、子どもたちはそのキャラクターが好きで友達になりたいのか。はっきり言って、好きか嫌いかのどちらかですね。理屈や理論だけで子どもの感性に訴えかけることはできないです。そういったこともあって、ダライ・ラマ14世じゃないですけど、“魂”という言葉をよく使うんですよね。理屈ではなくて、まず自分の中に熱い気持ちをもって、必死こいて机に向かっていかないとね。石井さんの横で生意気なこと言ってますけど(笑)。

――『コロコロ』は常に読者である子どもたちに目を向けているんですね。

しんぼ:『コロコロ』は残るべくして残った雑誌だと思います。僕はやっぱり‟コロコロ魂”というものがあって、代々遺伝して編集者たちが培ってきた。常にアンテナを張り巡らせて、ちゃんといい企画を作ってきたんだと思います。正面からしか見てない人は「『コロコロ』のあの企画、当たったな」って簡単に言うけど、裏でどれだけ努力してきたか知らないんですよ。僕なんかも藤本先生が亡くなって5年ほど経ったとき、新人や後輩に「僕らは藤本先生の遺伝子、遺産で食っている。その感謝とその思いを忘れないように」って伝えていました。僕自身そうでしたからね。

黎明期の『コロコロ』は『ドラえもん』が不動の位置にあって、残りのページを新人の僕らが埋めるわけですよ。『ドラえもん』がいたから、僕らの漫画も子どもたちの目に止まる。そのときのありがたさを覚えているから、新人たちに「藤本先生の遺産で食っているんだ」と伝えていましたね。『コロコロ』への感謝を忘ないこと、藤本先生の遺産を潰さないこと、それが大切ですよ。

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