気候学者は急速に変化する世界やそれを防ぐ手立てについて重要な知見を与えてくれる。その気候学者とは一体どのような人種なのであろうか?
彼らはどのようにして複雑な気候システムを調査しているのであろうか? そして彼らが提示する最悪の未来を避けるための指針とは?
ここではアメリカの気候学者が教えてくれた、気候と気候学者に関する10の事実を見ていこう。
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1. 気候は複雑。幅広い専門性が必要
専門家が言う気候とは、大気圏、地表(岩石圏)、海洋・川・湖(水圏)、雪・氷(氷圏)、生命が存在する地球の層(生物圏)という相互に関連する複数のシステムのことである。
それを理解するには、物理学・数学・化学・地質学・生物学など、いくつもの専門分野が必要になる。各気候学者は専門分野を持ちつつも幅広い知識を有し、またチームとして活動している。
ある専門家によると、20年前に気候学者は存在しておらず、ただ気象学者・海洋学者・生態学者・地質学者・生物学者といったそれぞれの分野の専門家が存在するだけであったという。
しかし現在では、様々な領域が相互に関連していることが判明している。例えば、海洋の現象は、天気にも森林にも関係がある。
2. 気候と天気が別ものであるということを理解してほしい
2月だというのに半袖で十分な暖かさなら、気候変動のせいだと言いたくなるだろう。だがそれは天気の話であって、気候の話ではない。ある時期の平均気温が例年を上回っていると言うのなら、それが気候変動についての話だ。
気候学者が関心を持っているのは、数年あるいは数十年に渡る平均気温やその他条件の変化、ならびにそれが広域的あるいは世界的な傾向であるのかどうかということだ。
気温は気候という巨大なパズルの1ピースにすぎない。熱帯の海洋温度の上昇が北極の海氷を溶かす仕組み、シベリアの永久凍土の溶解によって大気に放出されるメタンの量、気候変動に起因する干ばつや台風の程度――こうしたことが気候学者の関心事項である。
3. 気候変動は新しい現象ではないが、未知の領域に突入している
気候システムは常に変動しており、氷河期から氷河期へというサイクルを繰り返す。氷河期と氷河期の間を間氷期といい、この期間に地球は数千年をかけてゆっくりと暖かくなる。現在、地球で起きている現象は非常に特殊である。
データによると、大気中の二酸化炭素濃度は少なくとも過去80万年においては最も高い。人間の経済活動による排出や森林の減少が原因だろう。さらに前世紀の気温上昇速度は過去の氷河期と氷河期の間に起きたそれの10倍の速さだ。
二酸化炭素のような温室効果ガスの濃度が高まるほどに地球の気温は上昇する。そして現在の排出速度は過去に前例のないものである。
今現在、世界的な気温は上昇しており、氷床が溶け、海面が上昇し、酸性化が進んでいる。また生物種も絶滅している。
こうしたことは気候学者にとって周知の事実である。では今彼らが解明しようとしていることが何かと言えば、将来的にこうした現象がどの程度の速さで進むのか、それが地球上の生命に与える影響はどのようなものか、といったことだ。
4. 二酸化炭素は大気だけでなく、海洋にも放出される
化石燃料の燃焼で排出された二酸化炭素の4分の1以上が最終的には海に吸収される。一見、いい知らせに思えるが、実はこれが海洋の酸性化を引き起こす。
酸性化は海洋生物に多大な影響を与える。ウニの成長を阻害し、貝は貝殻が弱くなる。太平洋北西では繁殖期におけるカキの個体数が減少している。またサンゴ礁の生態系に劇的な損害を与えている。多くの魚がサンゴ礁に依存しているために、漁業にも影響が出る。
専門家によると、海洋の酸性化は、海洋生物の進化史上、最速の速さで進んでいる。それは進化によって対応できる速さを超えているという。
5. フィールドワークは危険だがときにロマンティック
ほとんどの気候学者は、かなりの時間を研究室の中でPCの画面をにらめっこしながら過ごしている。だが、研究室の定義はフィールドワークでは大きく変わる。
それは嵐に揺られる小さなボートの上かもしれない。あるいは蒸し暑く、やぶ蚊だらけの熱帯雨林のテントの中かもしれない。そこへの通勤手段がスノーモービルやラバということもあるだろう。またホッキョクグマ・嵐・毒ヘビといった危険から身を守らねばならないこともある。
ジャコウウシから命からがら逃げ出したという学者もいる。気温の上昇によって、薄っぺらくなった氷床を踏み抜かないよう肝を冷やした学者もいる。スノーモービルで移動していたら、突然胸まで氷の水に浸かってしまったということもあるのだ。
こうした危険を避けるため、気候学者はチームで行動する。彼らは人里離れた過酷な環境で何か月も過ごす。当然仲間内の絆は強く、ときにロマンスが芽生えることもある。
6. スーパーコンピューターがパズルのピースをはめてくれる
気候モデリングを専門とする気候学者は、アマゾンの熱帯雨林で毒ヘビをかわしつつ木の年輪のサンプルを採取してくるような学者ほど英雄視されることはない。だが、彼らは必要不可欠な存在だ。
物理学や化学を基にする数学モデルと膨大なデータをスーパーコンピューターに入力し、地球のシステムと気候の相互作用を解き明かすのである。
気候モデルは過去半世紀で複雑化の一途を辿り、氷の反射率・雲の形成速度・植物を通過する水といった要素を組み込みつつ、現実世界のシミュレートを行なっている。
火山の噴火のような外部からの大きな力が気温・降雨・風に与える影響も予測することができる。西南極氷床の融解がこれまで考えられていた以上に速いことを明らかにした最近の発見も、気候モデルによるものだ。
しかし現在最高のモデルであっても万能ではない。現実世界の複雑さを完全に再現できる気候モデルは今のところ存在しないのである。
7. 温室効果ガスは1世紀以上も疑問視されてきた
19世紀、過去に氷河期が存在したことが明らかになりつつあった。そして科学者らは寒冷化と温暖化の長期的なサイクルを作り出す原因を探り出そうとした。
産業革命による大気汚染が懸念されるようになったのもこの頃だが、化石燃料が大気に与える影響はようやく理解され始めたばかりだった。
1861年、アイルランドの物理学者ジョン・ティンダルは、水蒸気とメタンや二酸化炭素のようなガスが大気中に熱を閉じ込める仕組みを明らかにした。またスウェーデンの化学者スヴァンテ・アレニウスは化石燃料の燃焼が”温室効果”を持つことに気づいた。
だが、地球気温の上昇と温室効果ガス濃度を体系的に結びつけたのは、イギリスの蒸気技師ガイ・スチュアート・カレンダーが初めてで、1930年代のことだ。
当初、彼の発見は無視された。しかし第二次世界大戦と冷戦によって大気の研究が進み、初期のコンピューターモデルによって、カレンダー説の正しさが証明された。1950年代後半には、南極とハワイ、マウナロア山の二酸化炭素が測定され、その濃度が上昇していることが公式に確かめられた。
8. 古気候学者は過去を覗き見る
数千年あるいは数百万年単位の気候パターンを理解しなければならない気候学者だが、人工衛星などによるデータではせいぜい数十年しか遡れない。船による天気の記録なら数百年は遡れる。さらに過去へ遡りたいのなら、サンゴ・木の年輪・氷床コア・化石といった自然環境に残された手がかりを使う。それが古気候学である。
古気候学において重要なツールの1つが、海底や湖底から採取された堆積物コアだ。ここには塵・花粉・鉱物・貝殻などが層を形成しており、地質時代ごとの大気温・水温・潮流・風・海洋の化学組成といった情報が含まれている。
また氷にも、気泡・塵・火山灰・森林火災の煤といった膨大な情報が含まれている。北極や南極の氷床コアからは大気中のガス・空気や水の温度・過去における大規模な融解の痕跡を窺うことができる。そうしたデータにおけるパターンから、今日世界で起きている急激な温暖化の理解を進めることができる。
9. 地球の最果てでの調査
ある古気候学者によると、1950年代から60年代当時、調査をするためにグリーンランドへ行くときの足は船で、一度降りたら2か月は帰ってこれなかった。
現在では、飛行機やヘリコプターなどが使われ、以前に比べればずっと楽になってきたが、それでも天気の影響は受ける。夏であっても、天気が荒れれば、数日から数週間は補給が届かないことも普通にある。
が、そうした長期に渡る調査にもいいことはある。氷河から氷床コアを採取するような生活は、ダイエットに最適なのだ。マイナス30度という気温では、体温を維持するために体がカロリーをどんどん燃焼してくれる。
10. 普通の人と気候学者は時間感覚が違う
普通の人にとっては数時間あるいは数分の違いだって重要なことがある。しかし気候学者は数万年単位で物事を捉えており、100年や200年程度大した時間ではない。
あなたが大学で気候学のクラスをとれば、きっと子供や孫の代あるいはもっと先の世代の時代について話し合いながら、将来地球が迎える変化について考えるよう促されるだろう。
人類は自らの行為の影響を理解することなく、ずっと昔から地球に影響を与え続けてきた。子供がいる人なら、誰もが我が子が可愛いことだろう。ならばそれを証明するときではないだろうか?
50年先の子供や孫たちの世界を見据えることなしに、本当の意味で気候変動の問題に取り組むことはできないのである。
via:10 Facts About Being a Climate Scientist—From Climate Scientists/ translated hiroching / edited by parumo
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コメント
1.
2. 匿名処理班
太陽は少しずつ膨張してる
赤色巨星化は50億年先としても、生物が生きられる太陽光度の限界は2、3億年先
その頃には海は消えてる
3. 匿名処理班
大気を温めている、主たる要因は海洋
4. 匿名処理班
地球温暖化、という名称を使った商売は半分以上詐欺ですハイ
石油がン十年後になくなる、と一緒です
5. 匿名処理班
もうね、産業による温暖化の類は一番世界動かせる筈の上層の方々が諦めてるんじゃないかと感じてる
6. 匿名処理班
※4
温暖化は確実に起きている現象だよ
短いスパンでは反論してる人もいるけど、長いスパンで見れば気温が上昇し上昇傾向なのは確実
温暖化の原因がCO2以外にあるのは事実だけど
CO2が現在では人類にコントロールできる要素だから規制してる
7. 匿名処理班
woodjobという映画で林業のおっさんが
子や孫や林業の未来の為に切りながら植えていくと言ってたのに似てる気がした
「先のことより今が精いっぱい」よく耳にするし間違ってはないんだけど
何百年も先のことを見据えて仕事をしてる人はやっぱりすごいなあ
8. 匿名処理班
誰かがそれをネタに不当に儲けてるとしても、
地球温暖化が真実かどうかは別の話では?
そんな商売ができる前に生まれた概念だし。
温暖化はウソだ!と言う人は、もう取り返しが
つかないのでは… と言う不安が実は人一倍強い
様に思える。
9. 匿名処理班
「来る」の可能表現は「来られる」。
10. 匿名処理班
※8
いや、温暖化は真っ赤なウソだよ。
調べれば色々出てくるけど、世界の平均気温が下降しているのは事実。
この記事では、一般的に科学者は温暖化を支持しているように書いているけど、
少なくとも今の気候に関わる科学者で、温暖化を唱える人は多数派ではなくなってる。
何せ地球の気流も海流も以前とは変わってしまっている。
(赤道で上下二つに分かれていた気流が、なんと上から下に流れ込んでたりする)
夏は超熱波。冬は超豪雪のニュースが各地から知らされ、サハラ砂漠に雪が降って
雪だるまを作る人たちやその後解けて草花が咲き誇る・・・
「CO2が増えて温暖化したからです」では説明つかないよね。
なんらかの理由で地球の気候全体がカオス化してるんだよ。
11. 匿名処理班
※9
短期で見れば気温の上下はあって当たり前
科学的に気温の観測が始まった約100年前から確実に温暖化は進んでるよ
12. 匿名処理班
※10
>世界の平均気温が下降しているのは事実。
日本の気象庁も含め、世界各国の様々な機関が独自の解析で「気温は上昇している」と結論しています。
気候変動の懐疑論者から資金提供を受けたカリフォルニア大学バークレー校のムラー教授による「バークレーアース」プロジェクトでも同様の結論を出しました。
ロイ・スペンサーによる人工衛星を使った気温の調査でもやはり上昇が観測されています。
ロイ・スペンサーは昨年までは「でも1998年よりは低い」と主張していましたが、ついに2016年に記録が更新されました。
(もともと単年度の記録の意義は小さく、1998年はエルニーニョの影響でとびぬけて高温だったに過ぎません)
今ではごく少数の「研究者」が温暖化を否定しているだけで、彼らの示すデータは恣意的に観測点を選んでいます。
そして、石油企業のエクソン、石炭会社のPeabody Energyなどが彼らに資金提供していることが公式の文書で明らかになっています。
例えば、ロイ・スペンサーも資金提供を受けたことを認めました。指摘されるまで資金提供を隠していた彼は「私の年収に比べて少ない金だ」と反論していますが、それは要するに「大金を積まれれば協力する」という、科学者にあるまじき精神の自白です。