近畿財務局「校内で廃棄物処分を」
小学校の建設巡り近畿財務局伝える 工事業者が証言
大阪市淀川区の学校法人「森友学園」が国から取得した大阪府豊中市内の用地で進めている小学校の建設を巡り、近畿財務局が2015年9月、工事業者らと地下廃棄物の撤去費用について協議した際、撤去を見送るよう伝えていたことが分かった。工事業者は毎日新聞の取材に「国にそのままでいいと言われた」と証言した。建設現場は今も廃棄物の搬出を巡って紛糾しているが、国がこの時点で対策を講じていれば、混乱を回避できた可能性がある。
学園は15年5月に国有地の賃借契約を財務局と結んで以降、土壌改良工事に着手。15年7~12月、除染に加えて地下3メートルまでのコンクリートなどは撤去したとされる。費用約1億3200万円は学園が一旦負担し、後に国が支払った。
関係者によると、改良工事中の15年9月4日、財務局や大阪航空局、工事業者、設計会社担当者ら8人による会合が開かれた。それを記録したメモでは、工事業者が「敷地北東部や北西部の産業廃棄物をすべて除去となると処分費が高く、膨大な金額になる。工事を進めてもよいか」と判断を仰いでいた。
これに対し財務局の担当者は「地価を上回る瑕疵(かし)が発生する国有地を貸し出しすることはできないので契約取りやめになる。到底予算がつかないが、借り主(学園)との紛争も避けたい」と伝え、廃棄物の処理方法について「場内処分の方向で協力お願いします」と要請した。
工事業者の担当者は取材に「契約上は土の中にある廃棄物の塊、障害物を取り除くものだった。すべての撤去は大変だと思い、国に処理の判断を仰ぐと、掘り起こす必要はないと指示された」と語った。この業者は見える範囲で廃棄物を拾い、撤去したという。
国側は、この時期に打ち合わせがあったことは国会審議で認めたが、日時や場所を特定する記録は既に廃棄されたと説明している。
会合から約半年後、建物の基礎となる「くい」を打ち込んだ際、地中深くに廃棄物が残存していることが判明。国は廃棄物の撤去費を約8億円と見込み、これを差し引く形で9億5600万円の土地価格を1億3400万円で学園に売却した。
法的には、土地の所有者や工事業者が、地中に廃棄物があると知りながら撤去しなかった場合でも必ずしも違法ではない。一方、地上に掘り起こした廃棄物は適正処分の義務があり、再び埋め戻すと不法投棄に問われる。【服部陽、藤顕一郎】