日本中がWBCで沸いている。ぼくも、ここまで韓国ソウルでの2試合に加え、東京でも侍ジャパンの1次ラウンドでのオーストラリア戦、2次ラウンドのあのオランダ戦、そしてキューバ戦をライブ観戦した。侍ジャパンのゲームは、テレビ視聴率もかなり高いようだ。もちろん、球場の熱気も物凄い。同じアジアでのWBCでも、ソウルでの韓国戦と比べても観客数、ファンの盛り上がりとも比較にならない。今回のWBCのメインスポンサー4社のうち、日本企業以外は高級時計のHUBLOT1社だけだ。過去3大会で優勝2回、準決勝進出1回の日本はWBC史上もっとも成功した国だが、マーケットとしてももはやWBCは日本なしには語れなくなっている。
話は変わるが、先日アメリカのセイバーメトリクス系サイトの「fangraphs」に"WBC in July"という記事が掲載された。過去の開催時に比べ、今回は明らかにアメリカのメディアもWBCを取り上げる回数が多いのだが、この記事は今後の発展のために、今後の開催方法に関する興味深い提言を行なっている。
まずは時期についてだ。MLBやNPB、KBOにとって開幕前にガチンコ勝負の国際大会を開催することについては、選手の健康管理の観点から異論が少なくないのはご存知の通りだ。投手の投球数制限などの独特のルールは、そうしないと保険会社が故障に対する支払いを認めないことが背景にある。そして、記事では「選手がベストコンディションにある7月」を提案している。
「7月に開催する日程的余地があるのか」という疑問を持たれる方も多いだろう。
ここで推奨されているのは、オールスターを廃止してその代替えイベントとして開催せよ、というものだ。しかし、オールスターブレイクはわずか4日間であるのに対し、WBCは今回を例にとると3月6日から22日までの17日間もある。その差13日。この13日分を捻出するために、記事では公式戦開幕を7日間早めるなど色々なアイデアが提案されているのだがこれは、その中に1次ラウンドから決勝戦までを単一の国で開催することも含まれている。いわば、オリンピックと同じフォーマットだ。
今回は日本、韓国、メキシコ、アメリカが開催国になっているのだが、1次ラウンドを韓国で迎える国などは決勝ラウンドまで進出すると、ソウル→東京→LAと移動しなければならなくなるため、移動日や時差調整日が必要になってくる。それが、例えば全ての試合を米国内で行うアメリカやドミニカの場合などは、開幕が10日と韓国組に比べる4日も遅い。言い換えれば、全試合を単一国で開催すれば、さらに4日間捻出できるというのだ。これで計11日の短縮で残りは2日。これは、様々な方法でやり繰りできるレベルだ(言うまでもないが、ここではMLBの開催日程の調整のみを問題視している)。
そして、その記事では単一国で開催する際の将来の候補のひとつとして日本を挙げている。確かにチームは強くWBC人気は高い。そして、スポンサー候補の企業が数多く存在している。
しかし、心配のネタもある。多くのファンは侍ジャパンの動向に一喜一憂しているが、他国同士の対戦には残念ながらほとんど関心を示さない。13日の好カード、イスラエル対オランダ対戦も観客はわずか5千人だった。
野球は基本的に勝ったり負けたりのスポーツだ。万が一、日本が1次ラウンドで敗退するようなことがあると、主催者やテレビ局側は大きなダメージを負うだろう。そこが、「ファンの関心がない」と言われながらもどの試合も最低限の観客を動員するアメリアとの差だ。
もうじき、日本での今回のWBCが終わる。この点だけは、われわれファンの2021年への課題だろう。将来WBC全試合のホスト国なるために。
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