外貨不足にあえぐ北朝鮮は、海洋観光を促進するため、国際観光船運航への外国投資家の誘致に乗り出した。同国は日本海に向け立て続けにミサイルを発射し、国際社会の怒りを買ったばかりだ。
閉ざされた独裁国家の北朝鮮と韓国の国境に近く、港を擁する場所に金剛山国際観光特区開発総会社がある。同社は、東南アジアやロシア東部のウラジオストクを周遊する3万トンのカジノ客船を運航するため、外国投資家などから最大2000万ドル(約22億円)の投資を募っている。
同社のウェブサイトに掲載された説明文には「クルーズ船のサービスを活用することで、金剛山の国際観光を多様化したい」とある。
金剛山観光特区は、22日に北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を試みたが失敗したとみられる江原道の近隣にある。
「隠遁(いんとん)の王国」ともたびたび称される北朝鮮への外国人の入国は制限されており、限られた人数の旅行者だけが、細部まで演出されたツアーへの参加を許されている。
同国と国民は国際社会による厳しい制裁で苦しんでおり、この状況はトランプ米政権下でさらに悪化しそうだ。今週、国連が発表した同国に関する報告書では、北朝鮮国民の5人に2人が栄養不良状態にあり、人口の70%が援助食糧に頼っていると推定されている。
クルーズ船の魅力を高めるため、金剛山特区は船内にカジノを設けることを承認する。同国は賭博行為を厳しく禁じているが、これは特例だ。
特区の説明文には「観光客船には、1000人の旅客が安全で文化的な旅を楽しめるよう、さまざまな施設を設ける」と記されてあり、「(外国投資家への)優遇条件を保証する」ともある。
■「投資家がいるとは思えない」
同国が東南アジアを中心とする地域から、外国人観光客を呼び込もうとしていることに対し、一部の人々は不快感を示すだろう。
先月、マレーシアのクアラルンプールで北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏が殺害された事件がきっかけで外交紛争が勃発して以降、マレーシアの外交官は、いまもなお北朝鮮からの出国を禁じられている。
金剛山観光地区では、南北が緊張緩和に動いた2000年代初頭に韓国と協力事業を実施した。
だが、08年に韓国の観光客が浜辺を散歩中に北朝鮮の兵士に射殺されたことで、韓国政府が北朝鮮を激しく非難し、韓国からの観光ツアーは停止された。それ以来、両国関係は悪化した。
韓国の慶南大学校のある教授は「現状をみると、北朝鮮に投資しようとする外国投資家がいるとは思えない」とした上で、「北朝鮮は国際制裁に対処するために、14年から観光部門への投資家の誘致に関心を示したが、その他の状況をみると、あまり積極的に取り組んでこなかったことがうかがえる」と述べた。
By Bryan Harris
(2017年3月24日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 https://www.ft.com/)
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