民営化へ 18年春の実現に向けて動き
自民党市議団は関連3議案に賛成方針を全会一致で決定
大阪市営地下鉄の民営化議論を巡り、自民党市議団は23日の会合で、市営としての地下鉄・バス廃止議案など関連3議案に賛成する方針を全会一致で決めた。議案は大阪維新の会と自民、公明などの賛成多数で28日の今議会最終日に成立する見通し。紆余(うよ)曲折した国内最古の公営地下鉄の民営化協議は、2018年春の実現に向けて動き出す。
自民は昨年末に成立した民営化の基本方針に賛成する条件として吉村洋文市長に12項目を提案。吉村市長は今里筋線延伸のための基金創設は拒否したが、同線でのバス高速輸送システム(BRT)の社会実験など11項目を受け入れた。また、吉村市長が今議会にBRTの社会実験の基金創設に関する議案を提案したことも評価した。
さらに、自民は18年の民営化実現後も、施設整備のために発行した出資債などを償還した際、国から補填(ほてん)される地方交付税による財政支援が継続されることも条件としていた。この点も、市が100%株を保有するなど民営化の道筋を記した「株式会社化(民営化)プラン」を前提に、総務省から継続を認める回答を得たことから、賛成を決めたという。
吉村市長は、22日の市議会委員会で「国も公営企業の株式会社化を後押ししている。政策的課題は解決した」と今議会での議決を求めた。23日の会合後、自民党市議団の黒田當士幹事長は「我々は株式会社化を主張してきた。公の関与が担保されたことで(民営化に向けて)動き出すことになる」と語った。
民営化の実現には、市議会(定数86)の3分の2以上(58人)の賛成が必要で、大阪維新の会(36人)と公明(19人)に加え、自民(20人)の協力が不可欠だった。【岡崎大輔】