また「日本政府が作成した報告や外国の研究者たちの継続的な調査によって、福島地区の食品の安全性はすでに証明されているが、放射線汚染地区の食品に対して輸入を禁止するという措置は、核と聞くと顔色を変える中国において、すでに固着化してしまっているようだ」と『網易』の記事は分析している。
網易は「メディア同士で互いを攻撃し合わない」という暗黙の了解さえも破り、「一万歩譲って、仮に中国で販売されている無印良品の食品に本当に問題があったとしても、それは合法的な検疫プロセスを経て中国に輸入されたものである以上、どこからともなくやって来た『不良会社』に対する責任は税関や検疫部門が負うべきではないか? 年に1度の315晩会で、問題を指摘するどころか逆にしっぺ返しを喰らってしまった」と厳しい見解を示した。
この記事には「呉小異」という署名があるが、ネット検索しても何者かが分からない。その理由を推測すると、この名前は臨時に利用した仮名に過ぎず、言い換えるとこの記事は読者の誰かが投稿したものではなく、『網易』の編集部によるものなのだろう。
あるジャーナリストは、こんな話をした。「実のところ、プロとしての素養や職業倫理の程度において、中央テレビの記者は中国のメディア各社からかなり軽蔑されているが、それもまた公然の秘密である」という。検証を疎かにした素人報道をしているというよりも、“どなたか”の思いを忖度して報道していくことは、ままあったからだ。今回の網易が取った行動は、このような軽蔑的な感情の発露なのかもしれない。
福島原発の事故については、日本政府、東電が事故に関するデータなどを隠蔽しているのではないかとの報道が中国メディアも中に存在しているのは事実だ。原発事故による放射線で汚染された食品が中国に流出しているというデマも、インターネット上でたまに見かける。この数年間で、大多数の国が日本からの食品輸入を禁止する措置をすでに解除しているにもかかわらず、中国では昨年「米国が日本の食品を輸入停止にしている」というデマも広がった。315晩会での無印、イオン、カルビーをめぐる報道は、そんな状況から出た。
デマが広がりがちな中国世論に向けて、中央テレビの報道はまさに火に油を注ぐものだった。ただし、火傷したのは日本企業ではなく、火遊びをした中央テレビであった。
*「陳言の選り抜き中国情報」は今回が最終回となります。長い間のご愛読ありがとうございました。