いきなりであるが、鷹のフィニストさんを毟ってみようと思う。
彼女は「トルマリンソジャーナー」の登場人物である。文字通りの鳥人で立派な鶏冠も持っておられる。
考えてみれば、メイドサーバントは翼を背負っているが、天使と言う中途半端感がどうにもいただけない。
物語を書く都合上、人面をしていた方が凡人と絡ませやすいという理由で天使にしたのだ。
しかし、作品を書き続けていくうちにメイドサーバントの進化形態を考えなくてはならなくなった。
ドラゴンボールのサイヤ人が「超サイヤ人Z」だか「改め」だかにグレードアップしたようにメイドサーバントを改良せねばシリーズが続かない。
だが、どこをいじったものか行き詰っていた。ヒレだの角だの記号的なオプションパーツ追加では小手先の改良に終わる。
何か劇的なイメチェンはできないものか。
先ほどのドラゴンボールに立ち返るとフリーザ様は五段階ぐらい変身したそうではないか。
担当編集者が夜な夜な鳥山明の家に押しかけてダサいダサいと改良をせっついたとか。
そこで閃いた。
二段変身である。
天使が人間と鳥のハーフであるならば、いっそのこと鳥人間にしてしまえ。完全体への進化である。
メイドサーバントの鳥でない部分は顔とか二の腕である。
腕を取っ払うと、拳銃を握れないなど不都合が生じるので、頭蓋骨の進化にとどめる。
人間の女子ではなく、鳥の雌だ。
そこで、つらつらと考えていると、鷹のフィニストさんをメイドサーバントの進化系統樹に位置づけようと考えた。
分類学上ではレイブン(RAVEN)、オオガラスである。
ファンタジーではハイエルフとかハイドラゴンとか、やたらとハイを付けたがるので、ハイレイブンなる種族を創作する。
ハイレイブン。
う〜ん。
何だかイナズマイレブンやセブンイレブンと似た響きである。
だいいち、レイブンという表音が例文やイレブンと間違われそうでよくない。
別候補を考えよう。
ハイファルコン、ハイイーグル、ハイホーク。
何だ、ハイホークって。まるで原宿あたりを歩いてそうな脳天ホワイラーな女子高生みたいではないか。きっと水玉模様のスカートを履いて、ツインテールにリボンをつけて、七段重ねのアイスクリームなぞ頬張っているのだろう。
いや、これはこれでありだろう。ハイホークの脳天ホワイラーな女の子は脇に置いておく。ルームシェアしたら毎晩5人くらい男を連れてきそうだなぁ。
閑話休題。
考えたあげく、ハイアウルにした。OWL、フクロウである。
フィニストさんの顔毛を毟ったら、なんとなくフクロウっぽいんである。
「あなたねぇ!」
おや、誰かが来たようだ。
とまれ、アウルは研究者の新英和中辞典によると「ギリシャ神話で知恵の女神アテナがフクロウの象徴であったことから賢明のシンボルとされている」そうである。
「なんですか。あなた! いきなり呼びつけて。早く用件をおっしゃってくださいな。わたくし忙しいのですよ。ご用はなあに?」
うむ、さっそくですが一肌脱いでください。
「きゃっ、なにを?! ひゃん☆!!」
きせかえ鳥おんなの一丁上がり。

「あなた、ひどい人! ハイアウルを毟るなんて!!」

いやいやいや。ハイアウルの羽毛は獣化してから数時間で抜け落ちるんでしたっけ。
「まあっ、よくもまあ悪趣味な設定を思いつきますわね」

いや、そうおっしゃらずに、こちらのお召し物なぞいかがでしょうか。
はい、可愛い可愛いぢょしこぉせえ〜

「わたしゃ瑛太か!?」