英首相「テロ容疑者は数年前に捜査受けていた」

英首相「テロ容疑者は数年前に捜査受けていた」
イギリス・ロンドンの議会議事堂の近くで男が運転していた車で次々に歩行者をはねたあと警察官を襲ったテロ事件について、メイ首相は、男がイギリス生まれで数年前に情報機関から捜査を受けていたことや、イスラム過激派の影響を受け犯行に及んだ可能性が高いことを明らかにしました。
ロンドン中心部にあるイギリス議会議事堂近くの橋で、22日午後、日本時間の22日夜遅く、車が歩道を暴走して歩行者を次々とはねたあと、男が車から降りて議事堂の前で警備にあたっていた警察官をナイフで襲いました。一連の襲撃で、警察官や歩行者など3人が死亡、29人がけがをし、容疑者の男も警察官に射殺されました。

警察はテロ事件と見て大規模な捜査に乗り出していて、これまでに容疑者の男の関係先と見られるロンドンや中部バーミンガムの6か所で捜索を行うとともに、8人の身柄を拘束して男の動機や背後関係などについて捜査を進めています。

事件から一夜が明けた23日、議会で演説したメイ首相は、容疑者の男がイギリス生まれで、数年前に過激な思想に基づいた暴力行為の疑いで情報機関から捜査を受けていたことを明らかにし、「イスラム過激派の思想に影響を受けた可能性が高いと見ている」と述べました。

そのうえで「テロリストは民主主義を封じようとしたが、私たちはきょうふだんと同じように議会に集まった。私たちは恐れない」と述べ、テロに屈しない姿勢を改めて強調しました。

ISとつながるメディア「男はISの戦闘員」

このテロ事件について、過激派組織IS=イスラミックステートとつながりのあるメディアの「アマーク通信」は23日、男はISの戦闘員だと伝えました。そのうえで「有志連合に参加する国の市民を標的にしろ」というISの呼びかけに応じて、実行された作戦だと主張しました。
岸田外務大臣は、ジョンソン外相に対し、「犠牲となった方々のご冥福をお祈りし、ご遺族に対し、心から哀悼を表するとともに、負傷された方々にお見舞い申し上げる」というメッセージを出しました。そのうえで岸田大臣は、「いかなる理由であれ、テロは許されるものではなく、断固として非難する。わが国としては、イギリスを含む国際社会と手を携えて、引き続き非道卑劣なテロに立ち向かっていく考えだ」としています。