9/9
あなたが本当に大好きだから
惑星「ホールドミー・スライト」
草原にぽっかりと浮かんだ雲。ログハウスの梁にぶら下げた量子ラジオが、ざらついた音を立てている。
『決戦兵器『カゲロウ』が退役して、二十年目の今日、あらたに…』
「わぁっ、くすぐったあい」

クンクンと、小動物が少女の腕をなめる。
「お散歩にいくのなら、お洋服を汚さないようにね」
エルフ耳の若い女が、飼い主をたしなめる。少女はエプロンドレスの胸元をゆるめる。
するりと、フリル一杯のスカートが脱げ落ち、白いクルーネックシャツと、ややサイズ大きめのブルマ姿になる。うっすらとビキニのラインが透けて、裾から風切り羽がはみ出ている。ゼッケンに『りべれ』と書いてある。
じゃれ合うコヨーテ達。甘噛みが、エスカレートして喧嘩になる。
リベレが注意しても聞かない。彼女は、つい、指先をコヨーテに向ける。
「やめなさい」
エルフ耳の成人女性が立ちはだかる。
「その力は使えない筈よ。というか、此処はこの子達が安らぐ場所よ」
叱られたリベレは、小声で「ごめんね」と謝る。
「ねぇ、シアおばちゃん。何で、わたし、『りべれ』っていうの?…あっ! 流れ星」
「また、くるわね」
「うん、ぜったい来てね」
「ええ、あなたの事、大好きだから」
シアは、迷いを断ち切るように、踵を返した。
『オーランティア艦隊に次ぐ、次の攻撃目標は…』
『…攻略期限は、十二日と十二時間十二分』
【Next Distination →≫Planet Q.O.H's Buncket Hall】
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。