「カルテット」は坂元裕二オリジナル脚本のドラマ
漫画原作のドラマや映画が多い昨今、
オリジナル脚本で非常に見ごたえのある作品でした。
ラブコメディーとサスペンスが入り混じった非常に楽しい作品。
カルテットドラマ本編については、こちらにまとめさせていただいた。
ラブコメディーとサスペンスといえば、ケラリーノ・サンドロヴィッチ氏の「怪奇恋愛大作戦」をどことなく思い浮かべていました。
もちろん雰囲気が全然違うので比べて観たりはしなかったですが、
「ちょっと謎めいたエピソード」や「人のおかしなこだわり」などの描写はやはり面白おかしく、ドラマに引っ込まれていきました。
堤幸彦監督あたりが描くその奇妙な世界というものは、同世代というか、共通するセンスを感じます。
ケイゾク/映画にケラさんもちょっと出演されている。
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癖のあるおかしな登場人物ということでいえばツイン・ピークスを思い出さずにはいられなかったし、あちこちでデビッド・リンチっぽさも感じた。
なんとなく共通するところを感じていました。
面白いと思うポイントの共通点
なんとなくシンパシーのようなものを感じていたので、
ケラさんがこのドラマを絶賛していたのはうれしかったです。
「カルテット」録画を少しずつ観て今5話。素晴らしい。
— ケラリーノ・サンドロヴィッチ (@kerasand) 2017年3月7日
とくに最初の2話。四人四様の、切実さの絶妙なバランス、そして可笑しな会話。
が4話から突然オンビートな脚本、演出になったのはなぜか。愉快な4人組感よりドキドキしたいよ。充分面白いけど。
最後迄観たら坂元くんと色々話したい。
松たか子ちゃんとは翻訳劇で一度仕事させてもらって、それはそれでキュートな悪女ぶりが抜群だったが、「カルテット」の松たか子みたいな松たか子で舞台を創りたいとずっと思ってたのでものすごく悔しい、と坂元くんに伝えたい。5話迄しか観てないが。丹精な芝居で静かに杜撰さや悪意を演じるの素敵。
— ケラリーノ・サンドロヴィッチ (@kerasand) 2017年3月7日
三人のうちひとりは坂元裕二くんで、「カルテット」がよかったことを伝えたかったのだった。最終回の手紙にあった「煙の話」は、ケラ&ザ・シンセサイザーズの「ケムリの王様」を聴いてて書いたのだと言われ、喜ばせようとした俺の方が喜んでしまった。彼とも会ってゆっくり感想を伝える約束をした。
— ケラリーノ・サンドロヴィッチ (@kerasand) 2017年3月22日
ケラさんの影響で特にモンティ・パイソンやウディ・アレンの映画をたくさん観たのだけど、その奇妙でおかしくてちょっと理屈っぽくもある世界は妙に愛しい。
カルテットは私が好きな要素がたくさん詰まっていた。
そこにはやはり共通点があったのだ。
下の名前で呼び合う別府と家森
「別府くぅ〜ん」→「司くぅ〜ん」
「家森さん」→「論高さん」
家森と別府がお互いの名前を下の名前で呼び合うことにしたのは、真紀が戻ってき時に、たとえ呼び方が変わっても違和感がないようにそうしていたのだ。
それに対してすずめと真紀は、なぜかわからず気持ち悪がる。
「あ、真紀でいいですか?」
の一言で男二人の気遣いはあっさり流された。
ここでも真紀が得意のハグすかしのようなことになりニヤリとさせられるが、男二人は「真紀」のままの真紀さんにホッとする。
おとなの掟 真紀の最後の秘密「死と乙女」
軽井沢大賀ホールでの演奏直前、真紀がすずめに話した秘密
鏡の中で口紅を塗りながら唇をちょっと舐め、というCHARの「気絶するほど悩ましい」の歌の通りの仕草をする。これも演出によるものでしょう。
なぜなら、この歌は嘘つき女の歌だから。
すずめ「真紀さんのこと疑ってきた人は別の意味に取りそう」
週刊誌を読んで集まった人は「義父への殺意」を感じ取るだろう。
だけど真紀にとってはそんなことはどうでもよかった。
死と乙女「なんでこの曲にしたの?」というすずめの問いに
「こぼれたのかな・・・ 内緒ね」と真紀は答えた。
→ 第10話
これは第9話ですずめが真紀に言った言葉にかかっている。
「好きになるって裏切らない」
「人を好きになるって、勝手に溢れるものでしょ」
「好きになった時 人って過去から前に進む」
元・早乙女真紀は司のことが好きになった。
すずめと真紀にしかわからない秘密だった。
そのことは嬉しくもあり悲しくもあり
すずめは涙をこらえて「うん」と微笑んだ。
真紀は過去から前に進んだのだ。
満島ひかりさんと松たか子さんの二人の表情は、
何度見ても見飽きることがないくらいカルテットの最終章の秀逸さを物語っている。
複雑な登場人物の心情を見事に演じきっている。
男同士の内緒と女同士の内緒
「好き」とか「嫌い」とか「欲しい」の滅びの呪文は、
軽々しく相手には伝えられないのだ。
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ドラマでも白熱の演奏シーンだった。
そこにジュースの缶が投げ込まれる。
カルテットは「もう離れない」という感じのビクともしない絆を見せる。
シューベルト:弦楽四重奏曲《死と乙女》、《ロザムンデ》≪クラシック・マスターズ≫
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音楽は一生やっていきたい感じですか?
演奏者として仕事をするのが夢だった4人は、結局、好きなことを仕事にする泥沼から逃れ、趣味の延長として演奏活動を続ける。
週末に4人が集まってどこかで演奏する。
ずっとやり続ける。
それが仕事であっても、仕事でなくてもやり続けることができれば。
4人で自由に演奏できるようになったカルテットドーナツホールは、
4人のスタートラインがようやく揃ったのだ。
たとえ「けむり」のような存在であっても
たとえ「穴があるドーナツ」のようでも
それが届く人が一人でも二人でもいれば
音は響く。
この曲を聴くたびにカルテットを思い出すでしょう。
Music For A Found Harmonium (Live)
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サンキューパセリ サンキューカルテット
PS:なぜか昔から、ハマるドラマはたいていTBS