塩入彩
2017年3月23日17時48分
東京メトロ子会社の契約社員4人が、正社員と同じ地下鉄売店での業務をしていたのに待遇に格差があるのは労働契約法に違反しているとして、同社に差額賃金など計約4560万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が23日、東京地裁であった。吉田徹裁判長は「正社員とは業務内容や責任の程度に大きな違いがある」として同法違反には当たらないと判断。差額賃金や慰謝料の請求を退けた。
一方、時間外手当の割増率については、正社員と契約社員との間で差があるのは同法違反と認め、原告1人の差額分約4千円の支払いを同社に命じた。
訴えていたのは、東京メトロの子会社「メトロコマース」(東京都)の契約社員だった60代の女性4人。地下鉄の売店での接客や商品発注などの仕事内容、責任が正社員と同じなのに、基本給や賞与が少なく退職金も出ないのは、不合理な待遇差を禁じた同法に違反すると主張していた。
判決は、正社員は契約社員とは異なり、各店を統括する立場になったり配置や職種の転換などを命じられたりしていると指摘。「給与などに格差があるのは不合理な労働条件の違いとはいえない」とした。
原告の後呂良子さん(62)は「きょうの判決は何一つ納得できるものはありません」、原告側代理人の滝沢香弁護士は「国が賃金格差の是正を議論するなか、流れに逆行する極めて不当な判決だ」と述べ、控訴する意向を示した。
メトロコマースは「判決内容を精査し、今後の対応を協議していきたい」とコメントした。(塩入彩)
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朝日新聞社会部