3月8日、9日にかけてGoogle検索の大幅な順位変動が起こり、その影響は海外だけでなく日本でも数多くのサイトがその影響を受けることになりました。
(もちろん全く影響を受けていないサイトもあります。ちなみに私の管理しているサイトは全く影響を受けていないのですが、いくつかの検索クエリ(報酬が高いアフィリエイト系キーワード)で大幅な変動があったことは確認できました。)
この大きな順位変動はGoogleのアップデートによるものだと騒がれ、海外でも話題となったのですが、Googleは特別に何かを行ったわけではなく、公式に発表も行ってはいません。
この話題に関して、GoogleのJohn Mueller氏は「毎日変えているよ」とTwitterで茶化していますし、同じくGoogleのGary Illyes氏もTwitterで「今後はFredとでも呼ぼう」とツイートする程度にとどまっています。
このゲイリーさんのツイートから、今回の順位変動が「Fred Update(フレッドアップデート)」と呼称されるようになりました。
@avinash4dvg @methode @semrush Yes, we make changes almost every day.
— John ☆.o(≧▽≦)o.☆ (@JohnMu) 2017年3月9日
@rustybrick @i_praveensharma @JohnMu sure! From now on every update, unless otherwise stated, shall be called Fred
— Gary Illyes ᕕ( ᐛ )ᕗ (@methode) 2017年3月9日
つまり、今回の順位変動(便宜上「フレッドアップデート」と呼びます)は、Googleが特別に何か施策を行ったアップデートではなく、Googleで日常に行われている更新作業と変わらないことが言えるだけです。
ただし、特別な事は行われてはいませんが、結果的には大幅な順位変動の影響を受けたサイトが多く、個人メディア、ブログでも影響を受けていることもあって多く騒がれているというのが事の真相です。
多く騒がれることで嘘か誠か色々な憶測も飛び交っていることも含め、今回のフレッドアップデートについて考えてみます。
「フレッドアップデート?」そんなものはありません。
リンク品質や長文、広告数の多さが影響?
フレッドアップデートによって検索順位が下落したサイトは「リンクの品質によるもの」、そして「コンテンツが無駄に多い(長文)」「広告重視の価値の低いコンテンツ」だという見解が多くのメディアで示されています。
その見解の大元となったのは恐らくこの2つの記事でしょう。
Big Google Algorithm Fred Update Seems Links Related 🐟
Google Fred Update Seems To Target Ad Heavy, Low Value Content Sites
この2つの記事を読む限り、今回の問題は「リンク品質」「長文」「広告数の多さ」が影響していると書かれていますし、情報元として多くのメディアは取り扱っています。
ここでは更に掘り下げて考えてみます。
1.リンク品質
先ずリンク品質について。
ここで言うリンクの品質とは、外部リンク、内部リンク問わず「コンテンツとの関連性が薄いリンクの価値」のことであり、関連性が薄いリンクの価値が下がったということだと私は解釈しています。
外部リンク、特に被リンクは言わずもがなですが、内部リンクであってもコンテンツと関係のないリンクを貼りすぎればコンテンツの質も下げることになります。
内部リンクはあくまでそのコンテンツページと関連性が強いコンテンツへのリンクだからこそコンテンツページの質、そしてリンクそのものの価値を上げる元となるからです。
この問題はユーザーエクスペリエンスの観点から考えても理解できることです。
自分が閲覧しているコンテンツと関係ない記事へのリンクを多く紹介されても何も役に立たない、その情報を知ることでプラスアルファが得られるわけではありません。
自分が知りたいことはそれではないのですから。
それどころかむしろ余計なことをするな(ウザい)と感じるでしょう。
コンテンツと関係のないリンクを貼ることは、SEO対策としてもユーザーエクスペリエンスとしてもコンテンツの質を上げることには繋がらないので、検索評価が上がることもないのです。
(過剰な内部リンクもスパムとも判定されます。)
【SEO】内部リンクは重要だが、先ずはページ単体で価値を与えよう - 検索サポーター
2.コンテンツが無駄に多い(長文)
長文は検索に強い(SEO効果がある)。 最近よく語られるSEO施策です。
これはそのコンテンツページが情報の網羅性を満たしているからこそ言えることです。
しかし「長文=網羅性」だと勘違いしている人が多く、網羅性を満たしているコンテンツは長文になりやすいのですが、長文なら網羅性を満たしているとは限りません。
また、丁寧に説明するからこそ長文になりやすいのですが、長文なら丁寧に説明をしているとも限りません。
むしろ長文にするために無駄な情報を詰め込みすぎると、逆にコンテンツページの価値は落ちることになります。
(基本的な考え方は上記のリンクの品質と一緒、関連性のない文章を増やしても意味がないことと一緒です。)
ユーザーが知りたい情報はそれではない、関係のないことが多く書かれたコンテンツは単純にユーザーエクスペリエンスを損ねることにもなるからです。
(コンテンツに限らず、例えば関係のない話題をやたらと差し込んでくる人の話は聞くだけでも苦痛ですよね。無駄話が多い人だと思うことと一緒です。)
長文コンテンツの価値が下がったのではなく、無駄に長い長文コンテンツの価値が下がったと判断するのが妥当でしょう。
【SEO】リライトと長文、そしてnoindex…言葉だけを鵜呑みにすれば失敗します - 検索サポーター
少し話が変わりますが、長文コンテンツの話になると、やたらと「2000文字以上で作成する」など文字数ばかりの方法論が語られますが、この文字数はあくまで目安です。
1000文字に満たなくても検索順位が1位表示であるコンテンツページは沢山あります。
SEO(検索評価)はあくまで検索クエリ(ユーザーの検索意図)に依存することであり、長文かどうかはその次に考える、あくまで手段であることもしっかり理解しましょう。
【SEO】いまだに語られるリスティング都市伝説と、ユーザーの検索意図を汲まない無意味なリライトと長文 - 検索サポーター
3.広告数の多さ
今回のフレッドアップデートにおいて一番多く憶測が語られている憶測、特にAdSenseについては「数の多さの問題」だと、さも事実のような形で憶測が語られているなと感じています。
その元となった記事は、上記でも示した記事が元となっていると考えられます。
Google Fred Update Seems To Target Ad Heavy, Low Value Content Sites
元記事には「広告掲載が多いコンテンツ」として「AdSenseなどその他の広告収入を目的としたコンテンツ」という見解が書かれているのですが、このAdSenseの部分だけを切り取り、「AdSenseが多いコンテンツがペナルティの対象」だという解釈、憶測が広まっています。
果たして広告の数が問題なのでしょうか?
この問題も広告におけるユーザーエクスペリエンスの観点から考えてみます。
広告が沢山貼られたコンテンツはユーザーが読みにくいだけでなく、閲覧しているコンテンツと関係ない広告、関係がない商品を沢山紹介されても、ユーザーには役に立ちません。
また、AdSenseは関連性のある広告を表示してくれる仕組みではありますが、その精度は完璧なものではありません。
リターゲティング広告が表示される設定であればコンテンツと関係のないリターゲティング広告が表示されることもありますし、出稿費が高ければコンテンツと関係のないAdSense広告も表示されることがあります。
(コンテンツ内容と関係のないAdSense広告が表示されてる事象は、AdSenseが貼られたサイトを閲覧した誰もが実際に目にしたことがあるでしょう。)
また、いくら関連性がある広告が表示されていたとしても、広告が沢山貼られたコンテンツをユーザーは目障りに(ウザいと)感じるでしょう。
よく文中や離脱率の高いポイントにAdSenseを貼る手法を取っているサイト(特に個人ブログ)が多いですが、そういったブログに限って「滞在時間を延ばす、ブログ内を回遊させることがSEOでは有効だ」と言いつつ、全く矛盾している施策を行っています。
離脱率が高いポイントだからこそ離脱させない仕組み、工夫が必要であり、多くの目に触れても嫌悪感を持たない場所やユーザーが納得してクリックする場所に広告を貼ることでコンテンツの質も広告の効果も上げることに繋がるのです。
フレッドアップデートが単純にAdSense広告の数が問題だと捉えると、対策はおろか、今後も起こるであろうフレッドアップデート(に似たアップデート)でもコンテンツの検索評価は下がる一方となるでしょう。
【SEO】広告もコンテンツの要素として考えてる?「価値を与える」からこそ収益も検索流入も増えるのです - 検索サポーター
以上の事から、今回のフレッドアップデートはリンク品質の再評価と、広告を含むコンテンツ内容の再評価など、多数のGoogleの日常のアップデートのタイミングが重なったことで起こったものだと私は考えています。
もっと修正するべき箇所があるのではないですか?
ユーザーに価値を与えることが大前提
これは個人的な見解、推測ですが、全てのブログ記事のタイトル下に「おススメの記事」と称して報酬が高いアフィリエイト記事や自らの情報商材、サロンへのリンクを貼ってファーストビューでコンテンツが見えなくなっているサイト、ブログも今回のフレッドアップデートの対象になっている傾向にあると感じています。
前述のようにコンテンツページの内容と関係のない内部リンクを貼っているだけでなく、ファーストビューでコンテンツが全く見えない時点でユーザーエクスペリエンスを著しく損ねているのは確実だからです。
また、そのようなサイト、ブログほど離脱率が高い(離脱したくなる)ポイントに広告を沢山貼っている傾向にもあると感じています。
なぜならばその施策は誤クリックや離脱ユーザーを誘導するしかけでしかなく、決してコンテンツの質を高める施策ではないからです。
(むしろ「フレッドアップデートの影響でアクセスが減ったので広告減らしました~」と言っているサイト管理者、ブロガーは、自分がユーザーエクスペリエンスを阻害している施策を日ごろから行っていることを自覚している確信犯であり、その発言をしている個人ブログのほとんどが上記のテンプレートばかりであったり。)
SEO(検索評価)も広告収入も「ユーザーに価値を与える」からこそ伸びてくるもの、多く得られるものです。
数字だけを眺めてあれこれと考えるよりも、それを生み出してくれる「人」のことをしっかり考えましょう。
そもそもGoogleは「ユーザーに価値を与えるコンテンツを評価する」という原理原則は一貫して変えていません。
(SEOを生業にしている私が言うのもナンですが)SEO対策のことばかり考えるよりも、ユーザーの満足度を上げることを考えてコンテンツを作る、施策を打てば必然的にそのコンテンツは広告のクリック数はもちろん、コンバージョン率(成約率)も高まります。
また、そのようなコンテンツは外部サイトやSNSなど色々なところでシェア、紹介され、自然に言及される(被リンクが集まる)ので検索評価もじわじわと上がり、巡り巡って検索評価を上げる、SEO対策となっていきますよ。
【SEO】検索流入を増やすたった一つのコツは「検索ユーザーのニーズ(意図)を満たすコンテンツ」を提供すること - 検索サポーター