2017年3月17日21時04分
福岡刑務所(福岡県宇美町)で2013年、男性受刑者(当時38)が自殺したのは職員らが対策を怠ったためだとして、男性の母親が国に約6300万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が17日、福岡高裁であった。大工強裁判長は国に約3400万円の支払いを命じた一審・福岡地裁判決を取り消し、請求を退けた。
男性は覚醒剤取締法違反罪で実刑が確定し、13年1月に福岡刑務所に収容された。抑うつ症状を訴え自殺を図ったため独居房に移されたが、5月に自殺した。
一審判決は、男性が自殺前日に面会した母親に「死にたい」と漏らしたり、職員に幻覚や重い抑うつ症状を訴えたりしていたとし、「職員らは精神状態が悪化していることを認識していた」と判断した。
一方、高裁判決は男性の一言だけで職員が自殺願望に思い至るのは困難だと指摘。すぐに自傷行為に及ぶ危険性はないと認識したのはやむを得ないとし、「注意義務違反は認められない」と結論づけた。
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朝日新聞社会部