「ムスリム批判は絶対に許されない」移民が侵食するスウェーデンの“パラレル・ソサエティ”化が深刻すぎる(国防省レポート)

tocana / 2017年3月21日 13時0分

 スウェーデンでは政府の一機関がこのように自国の自由主義、そして多文化主義をあからさまに批判したのはきわめて珍しいことだ。そのため、評論家はこのレポートをすぐさま「陰謀」と呼び、イスラム教に対して間違ったイメージを植え付けるものだという批判が巻き起こった。マスコミはこのレポートを扇動的に扱い、22人の学者や宗教の専門家は、レポート作成者たちにブログ記事で公開質問も行っている。

 このレポートの内容を不快に思うスウェーデンの主要大学の学者たちは「ムスリム同胞団がパラレル・ソサエティを作り出す」と言う考えは過去の研究で既に論破されたはずだと主張。またレポートが、スウェーデン内のムスリム・コミュニティをムスリム同胞団が率いていると断定していることにも反論している。そしてムスリム・コミュニティのほうも多様化しており、イスラム教徒のグループ同士にも競争があることを指摘する。

 しかし一方、このレポートの筆者マグナス・ノレル氏は公共放送の「SVT」でこう語った。「彼らがレポートをちゃんと読んだのか疑問です。彼らがこれを認めないと言うなら、私がそれについてできることはあまりないですね。これは証明されている事実ですから」――。

 スウェーデンは低出生率と高死亡率のため、労働者不足に悩み、その解決策として1975年から多文化主義的な政策に取り組み始めた。欧州では最も移民を積極的に受け入れてきた国だと言われる。しかし現在は移民政策により治安の悪化、移民保護制度の負担による財政破綻の危機を迎えていることも事実だ。

 スウェーデン統計局によると現在、人口の20%近くが、国外にルーツを持つ人間となっている。日本でも労働者不足問題が日増しに切実になっているだけに他人事では済まされない話題といえる。
(文=三橋ココ)


※イメージ画像は、「Wikipedia」より

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