21日未明から午前10時まで、ソウル市内全域が濃い霧のようなスモッグに覆われた。PM(粒子状物質)2.5の1時間当たりの濃度が一時1平方メートル当たり100マイクログラムを超過する「非常に悪い」となり、通勤通学の市民らは対策に追われた。とりわけここ最近は今月18日から4日連続でソウル市内の大気は「悪い(51-100マイクログラム)」以上の状態が続いており、ソウル周辺の京畿道高陽市、東豆川市、九里市など多くの地域でも21日は朝から空気が非常に汚れていた。世界の主要都市においてPM2.5や一酸化炭素など汚染物質の濃度を測定・比較するネットサイト「エアビジュアル」によると、21日朝のソウルの空気は一時インドのニューデリーに次いで世界で2番目に汚れていた。
ソウル市内では時に「殺人者」とも呼ばれるPM2.5の濃度が今年は非常に高くなる傾向が続いている。韓国ではPM2.5の警報と注意報を「特報」と呼んでいるが、韓国環境部(省に相当)国立環境科学院によると、今年に入ってから3月21日まで全国各地に発令された特報の回数は85回を数えており、昨年の41回、一昨年の51回と比べてもはるかに多くなっている。特報は1平方メートル当たりのPM2.5濃度が2時間以上にわたり90マイクログラムを上回ったときに発令される。韓国政府は世界保健機関(WHO)が発がん物質に指定しているPM2.5に対する国民の意識を高めるため、2015年からこの特報制度を導入した。
PM2.5による大気汚染が今年になって特にひどくなっている原因について、専門家は「国内で排出されるPM2.5が大きく増加したことよりも、風や気圧配置などの気象要因が影響を及ぼしているようだ」との見方を示している。国立環境科学院大気質統合予報センターのチャン・イムソクさんは「中国からやって来る移動性高気圧が韓半島(朝鮮半島)周辺で停滞する期間が長引いている影響で、PM2.5が以前よりも大量に蓄積された可能性がある」「今月15日に中国で両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)が終わると、中国では大都市にある工場が一斉に操業を再開するため、それによって北京などの大気汚染がひどくなることも一つの要因だろう」などと説明した。