朴槿恵(パク・クネ)前大統領がきのう、被疑者として検察に出頭した。憲法裁判所の弾劾訴追案認容決定で罷免されてから11日後に検察の捜査を受けたものだ。「崔順実(チェ・スンシル)国政介入問題」で贈収賄・公務上の秘密漏えいなど計13の容疑が持たれている朴前大統領は検察庁に入る際、「国民の皆様に申し訳なく思う」と述べた。
韓国の前大統領や元大統領が検察に出頭を求められたのは今回で4回目だ。全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領と盧泰愚(ノ・テウ)元大統領は1995年に検察に出頭し逮捕・収監された。2人とも有罪判決を受けて服役し、97年12月に当時の金泳三(キム・ヨンサム)大統領により特赦された。盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領は2009年4月に検察に出頭したが、自殺したためそれ以上は捜査が行われなかった。
検察は朴前大統領の捜査を法と原則に基づいて徹底的に行う一方で、事件処理を先送りすることにより生じ得る混乱を避けるべきだ。検察の捜査が長期化すれば、弾劾賛成派・反対派に分かれてそれぞれ極端な方向へ走る確執が検察庁舎の前で再現されるかもしれない。最終的には逮捕されるかどうかがカギになるだろう。どちらになっても非難は避けられない。検察は重い荷物を背負うことになった。
8年ぶりに前大統領の検察出頭を見つめる国民の心も複雑だ。程度の差があるだけで、朴前大統領の前任者たちもほとんどが明るい顔のまま大統領府を出ることはできなかった。事実、厳格な基準を当てはめれば、ほかの大統領経験者のうち相当数が検察の捜査を受けるべき過ちを犯していたと言える。今とは国民の目線が違っただけだ。多くの大統領経験者たちが、そして家族や側近たちが有罪判決を受けて収監されることにより、満身創痍(そうい)になって大統領の座を去った。
大統領やその側近たちが検察の捜査を受けることが一定の周期で繰り返される国は、韓国以外にはほとんどないだろう。人の問題だけではないという意味だ。韓国大統領府に入ればすぐに現代の帝王となって権力を行使し、晩年には絶壁から転落するのが一つの公式のようになっている。そうでありながら肝心の政策執行は不備に近い状態だ。韓国の大統領制はもう寿命だ。
1987年の改憲以来、初めて国会改憲特別委員会が設置され活動中だ。大統領選挙中でも改憲特別委員会は大統領の権限を分散、協力して政策執行に当たる枠組みを設け、政治的にはけん制されながらも政策的には大統領が任務を行えるようにする新しい体制を国民の前に提示すべきだ。改憲の国民投票は2018年の地方選挙までには終えなければならない。今の枠組みのままでは、大統領の悲劇と大統領経験者の検察出頭が今後も繰り返されるだろう。